1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/12(火) 17:47:09.02 ID:NYV5XGfA0
唯「ねえ憂、やっぱりお引越ししない?」
お姉ちゃんは今夜もまた、そんな風に言った。
お茶碗を左手に、わたしの作った晩ご飯を口もとに留めて、困ったような笑顔をしている。
憂「わたしもしたいけど、お引越しするお金がないでしょ?」
唯「うんうん……そうなんだけどさ」
止めていた箸を動かして、野菜炒めを口に入れる。
せわしく動く口から、おいしいという言葉は漏れない。
かわりにお米を噛んで、
それも飲みこんでしまってからお姉ちゃんは口を開いた。
唯「じゃあ、お金が入ったらお引っ越しする?」
憂「……でも、繰り返してばかりでもいいことないと思うよ」
私たち二人がまた一緒に暮らすようになってから、もう引っ越しは四度もしている。
そのたびにもちろんお金はかかるし、転居の手続きに追われてしまう。
今住んでいるマンションも大体は無関心だけれど、
ふたり厄介なおばさんコンビがいて、限界かなと思っていた。
その矢先のお姉ちゃんの提案。
私は頷きたかったけれど、現実的な問題が阻みすぎる。
憂「このままここで暮らそう? せめて1年はもたないと」
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2011/04/12(火) 17:48:45.63 ID:NYV5XGfA0
唯「うーん……」
憂「会社でなにかあったの?」
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2011/04/12(火) 17:51:14.87 ID:NYV5XGfA0
私たちの結婚は、ごく少数の人達にしか伝えていない。
片手で数えられるほどしかいない、信頼できる人達だけだ。
まずは純ちゃん。
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/12(火) 17:52:43.47 ID:NYV5XGfA0
唯「……和ちゃんが思ったことを言っていいよ」
どんなことを言われるだろう。
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/12(火) 17:53:45.54 ID:NYV5XGfA0
和「なにがおかしいのよ……」
憂「だって和ちゃん、あははっ」
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2011/04/12(火) 17:56:39.32 ID:NYV5XGfA0
――――
私がお皿洗いをしている間に、お姉ちゃんがお風呂に入る。
そのあとに私がお風呂に入る。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/12(火) 17:57:26.61 ID:NYV5XGfA0
唯「ふふ、では乾杯」
憂「乾杯」
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/12(火) 17:59:22.19 ID:NYV5XGfA0
憂「はあー。まわってきたー」
卓にあごを乗っけてへたれる。
お姉ちゃんの手が私の後ろ頭をわしゃわしゃ撫でる。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/12(火) 18:00:58.37 ID:NYV5XGfA0
唯「もし、わたしたちのどっちかが男の子だったら、どうしてたのかなあ?」
お姉ちゃんの声はアルコールのせいで揺れていた。
けれど真芯があって、そこだけは真剣味を帯びている。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/12(火) 18:01:48.46 ID:NYV5XGfA0
喉の動く音がして、また舌が吸われる。
今度はだんだん舌が渇いていった。
酎ハイはもうみんな飲ませきってしまった。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/12(火) 18:02:46.75 ID:NYV5XGfA0
――――
翌朝、お姉ちゃんの髪をとかして送り出す。
このあたりはずっと変わらない。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/12(火) 18:03:54.67 ID:NYV5XGfA0
大まかな掃除を済ませ、細かい掃除に移る。
掃除機をかけただけでは取りきれない塵は、ぞうきんで拭きとる。
そのための雑巾を、ぎゅっと絞っているときのことだった。
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/04/12(火) 18:04:37.46 ID:lqhswe6mo
支援
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/12(火) 18:05:19.56 ID:NYV5XGfA0
唯「ははっ」
変なリズムで息を吐きながら、お姉ちゃんが押し入る。
右手には、丸めた新聞が握られていた。
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/12(火) 18:06:31.21 ID:NYV5XGfA0
憂「26組165542……」
ざっと見渡す。
9等すら外れていた。
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/12(火) 18:07:42.09 ID:NYV5XGfA0
次に、2等。
2等の当籤番号は、37組913869番。
憂「……あれ?」
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/12(火) 18:08:28.04 ID:NYV5XGfA0
お姉ちゃんが言うと、そのことが実感をともなった気がした。
憂「……ど、どうしよう」
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/12(火) 18:09:39.32 ID:NYV5XGfA0
携帯電話はしつこく唸っている。
ベランダの向こうを、通学途中の高校生が自転車で駆け抜けていく。
車輪の音が去った時、バイブレーションはもう止まっていた。
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/12(火) 18:10:44.35 ID:NYV5XGfA0
憂「でも、それでも私たちは兄妹で結婚してるってことにならない?」
唯「私たちが姉妹だったことは隠したらいいよ。遠いところに引っ越してさ……」
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/12(火) 18:12:02.41 ID:NYV5XGfA0
憂「ここだって、そうなんだよね」
スカートの上から、お姉ちゃんの性器に手をやった。
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/12(火) 18:13:23.60 ID:NYV5XGfA0
お姉ちゃんはまた私のほうに歩いてきた。
唯「性転換手術を受けて、戸籍の性別も変えるの」
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