43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/11(土) 23:23:01.58 ID:goJOdKVm0
律はそう言って立ち上がる。
私も急かされるがままに立ち上がった。
そのまま駆け足で家を出る。律に左手を、しっかり握られながら。
44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/11(土) 23:27:50.28 ID:goJOdKVm0
律「それとさ。澪、お願いがあるんだけど」
少し行って通学路、律が首を傾けてこっちを見た。
ふふ、相変わらず酷く目が腫れてるなあ。
45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/11(土) 23:32:29.72 ID:goJOdKVm0
律「……ふう」
軽音楽部部室前に着いた。
放課後の時間に合わせてきたので、きっとこの中には唯たちが既に居るだろう。
そのドアノブを握り、律は深呼吸した。
46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/11(土) 23:36:16.56 ID:goJOdKVm0
律「今日は、みんなに話さなきゃならないことがあってきたんだ。
……聞いて貰っても良いか?」
律の手が、震えていた。
だから私は必死に握り返す。
47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/11(土) 23:39:06.49 ID:goJOdKVm0
律「……まあそういう訳でさ。言い訳みたいになるけど、昨日のことは病気が原因なんだ。
……ごめんな?」
やっと律が話し終えたとき、律以外泣いていない人なんていなかった。
目を真っ赤にしてウサギみたいな唯が律の方へ走る。
48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/11(土) 23:41:40.81 ID:goJOdKVm0
律「……怖かったんだよ、拒絶されるのが」
律はそれに対し、穏やかな声と表情で喋る。
優しく、それでいて寂しそうな笑顔だった。
49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/11(土) 23:44:46.64 ID:goJOdKVm0
律「みんな、そろそろ泣き止めよー。私はまだもう一個伝えることがあるんだから」
律は少しだけ震える声で、でもいつも通りの調子でしゃべる。
もう一個伝えることって……一体何だろう?
50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/11(土) 23:47:49.94 ID:goJOdKVm0
そん、な……。
それはつまり、私たちの思い出も、私たちのことも分からなくなると言うことだ。
絶望に暮れる私に、律が追い討ちを掛けるかのように言った。
51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/11(土) 23:50:02.22 ID:goJOdKVm0
澪「嘘、だよな……?」
やっと出た声は、まるで蚊が鳴くかのようにか細く弱々しい。
私は全身全霊を込めて声を絞り出す。
52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/11(土) 23:52:30.32 ID:goJOdKVm0
律のいない学校は、やはりどこか味気ない。
もう律が登校しなくなってから随分経っていた。
一人での登下校、寂しい。
53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/11(土) 23:54:29.70 ID:goJOdKVm0
私たちが来ると一気に病室は賑やかになる。律も嬉しそうだ。
個人病室だし、やはり日中の静けさは凄いんだろうなあ。
ベッドサイドの窓から気持ちの良い風が吹き込んだ。
夏だというのに、少し冷たくて爽やかな風だ。
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