22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:44:10.66 ID:kPL2CQfgo
効率よく、それを消してしまえる手段も心得ている。
誰か話をよく聞いてくれる人に、その思いをすべて打ち明けてしまえばいい。
異物は身体の中から抜け出て、二人の会話の空間の中へと溶け込んで、無害な物質に変わる。
ただ、それが案外難しい。
23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:45:11.25 ID:kPL2CQfgo
もう一つの理由は、話の深刻さを取り違えられると、たとえうまく話すことができたとしても、相手には本当のことはなにも伝わらないから。
あまり真剣な悩みとして受け止められて、心配されたりすると、話しながら次の言葉を探すのも困難になる。
かといって、ジョークのつもりで聞いてもらうのも困る。
前者には憂やあずにゃんが含まれる。
24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:46:11.81 ID:kPL2CQfgo
和ちゃんがその人だということに気付いたのは、ようやくこの数年のこと。
けれど、それに気づいてからは、私はいつもうまくいっている。
表面に発生した思いつきが徐々に成長していっても、それに焦ったりはしなくなった。
かえって、和ちゃんに話す時を楽しみにして、それが充分なところにまで成長するのを心待ちにするくらいだ。
25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:47:12.44 ID:kPL2CQfgo
★
へんな自信がある。
私がいちばん和ちゃんのことをわかっている。
26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:48:12.81 ID:kPL2CQfgo
知ってる、という意味じゃない。
和ちゃんのプロフィールとか、そういうことに関しては、人生のほとんどを親友として過ごしてきながら、あきれるほど知らない。
例えば、和ちゃんの生まれた場所とか、出生体重とか、そんなことは和ちゃんのお母さんの方がよく知ってる。
好きな食べものとか、そういうこと。それもよくわからない。
27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:49:13.29 ID:kPL2CQfgo
私が和ちゃんのことをわかっていると思うのは、表面的なことじゃなくて、和ちゃんの心のうちがわのことだ。
和ちゃんには外側と内側がある。
野菜の皮と中身か、あるいは卵の殻とヒヨコみたいに。
もちろんそんなの、誰にだってあると人は言うだろう。
28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:50:16.62 ID:kPL2CQfgo
私の話を聞いてくれたり、友達にアドバイスをしている時の和ちゃんは、やさしい母親のようでもあり、同年代の子どもには思えない。
でも、すごくナイーブな時の和ちゃんは、弱々しくて、保護したくなるようなオーラを放っている。
どうやらそのオーラが見えてる人は少ないようだ。
和ちゃんには悪いかもしれないけど、私だけわかっていればいいんだ。
29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:51:17.32 ID:kPL2CQfgo
★
和ちゃんの感じ方とか、私が一番よく知ってるなんて、傲慢な思い込みに過ぎないと感じることもある。
自分がひどく惨めで、和ちゃんにはふさわしくない人間に思える。
30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:52:17.71 ID:kPL2CQfgo
★
それでも、はっきり、この気持ちが恋だと気付いてからは、まだ日が浅い。
戸惑いはしなかった。
31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:53:18.14 ID:kPL2CQfgo
「こういうことさ、考えたことない?」
「どんなこと?」
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:54:18.77 ID:kPL2CQfgo
「そうなんだけどさ。逆に、私が軽音部に入らなかったら、ってことも考えるんだ。私じゃなくて別の誰かがギターを弾いてて、その子が私みたいにみんなと仲良くやってるって想像をはじめると、なんか、ちょっとだけ怖くなるよ」
「こわい?」
49Res/30.88 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。