29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:51:17.32 ID:kPL2CQfgo
★
和ちゃんの感じ方とか、私が一番よく知ってるなんて、傲慢な思い込みに過ぎないと感じることもある。
自分がひどく惨めで、和ちゃんにはふさわしくない人間に思える。
30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:52:17.71 ID:kPL2CQfgo
★
それでも、はっきり、この気持ちが恋だと気付いてからは、まだ日が浅い。
戸惑いはしなかった。
31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:53:18.14 ID:kPL2CQfgo
「こういうことさ、考えたことない?」
「どんなこと?」
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:54:18.77 ID:kPL2CQfgo
「そうなんだけどさ。逆に、私が軽音部に入らなかったら、ってことも考えるんだ。私じゃなくて別の誰かがギターを弾いてて、その子が私みたいにみんなと仲良くやってるって想像をはじめると、なんか、ちょっとだけ怖くなるよ」
「こわい?」
33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:55:19.27 ID:kPL2CQfgo
私がおおむねこんなようなことを話し終えると、和ちゃんはいつもの流儀で、少し沈黙した。
そして歩きながら考え込む和ちゃんの顔を見て、『ああ、私は好きだなあ、この顔が』と思った。
そしてその感情が特別なものだと知った。
今まで話したことと矛盾するようだが、この感情は確かだと思った。
34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 19:59:08.32 ID:kPL2CQfgo
私がおおむねこんなようなことを話し終えると、和ちゃんはいつもの流儀で、少し沈黙した。
そして歩きながら考え込む和ちゃんの顔を見て、『ああ、私は好きだなあ、この顔が』と思った。
そしてその感情が特別なものだと知った。
今まで話したことと矛盾するようだが、この感情は確かだと思った。
35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 20:00:02.71 ID:kPL2CQfgo
★
戸惑わないということと、迷わないということは、しかし別のことだ。
こんな感情をどうすればいいんだろう?
36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 20:00:29.10 ID:kPL2CQfgo
初めのうち、和ちゃんのことを好きだという自覚をもって、色々な和ちゃんを観察するのは楽しかった。
「好きだ」と思ってみると、いままで見ていた和ちゃんが急に鮮やかな光を放って見えた。
和ちゃんが私の視界の中で特別に輝きだした。
37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 20:01:43.50 ID:kPL2CQfgo
私が迷っているのは、結局和ちゃんに嫌われたくないからにすぎない。
この思いばかりは、和ちゃんにお話しすることは出来ない。
そして待っていても自然に解消することもなさそうだった。
38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 20:02:30.43 ID:kPL2CQfgo
★
気がつけば、三年の夏休みが目前に迫っていた。
その日も和ちゃんと一緒に学校から帰った。
39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 20:02:58.54 ID:kPL2CQfgo
和ちゃんは私のことを怪しんでるみたいだった。
「ねえ、唯。最近なにかあった?」
40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 20:03:26.90 ID:kPL2CQfgo
それはひどく暗い考えのようだが、かえって私の心を明るくした。
諦めようと思った。
この瞬間、今日で、和ちゃんへの思いで、ふつうの友情をはみ出す部分は、すべて捨ててしまおう。
たぶん、それがいいよ。
41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 20:04:26.48 ID:kPL2CQfgo
あまりの唐突さに、あっけにとられて、頭の中がまっしろになる。
いったい何に笑ってるのだろう、と考えてもわからなかった。
不思議なことに、その原因のない笑いは私にも伝染して、次第に口元を緩ませ、やがて笑い声となって私の口からもあふれた。
言葉にできない瞬間だった。
42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 20:04:52.55 ID:kPL2CQfgo
★
和ちゃんと別れ、家に帰って憂が出してくれたアイスを食べながら、その瞬間のことを検討した。
あんなにおかしかったのは、なぜだろうか?
43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 20:05:19.62 ID:kPL2CQfgo
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「ん? なにが?」
44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 20:05:51.38 ID:kPL2CQfgo
それにしても、あの帰り道の、諦めようという悟りは危なかった。
もし、和ちゃんがあの時笑わなかったら、ほんとに諦めてたかもしれない。
あれは神さまの知恵だと思ったが、悪魔の誘惑だったのかもしれない。
45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 20:06:24.38 ID:kPL2CQfgo
(私の恋の矢は痛いから、和ちゃんきっと泣いちゃうなあ)
そう思った。
(でもきっと、振られることはないだろう。)
46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 20:08:37.13 ID:kPL2CQfgo
和ちゃんもそんな私のことわかってくれるだろうし、好きだろうし、もっと好きになってくれる。
あの時から、そう自信をもって思えるようになった。
和ちゃんに会ったら、言おう。
47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/08/14(日) 20:14:29.22 ID:kPL2CQfgo
読んでくれた方はありがとうございました
3話になる予定と言いましたがこれでおしまいです
慣れない書き方で大変でした
48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/08/14(日) 20:29:12.71 ID:z7KIT9lLo
おつ
良かったよ
49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]
2011/08/15(月) 12:13:38.37 ID:Yi6Pf0DAO
おつ
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