過去ログ - 真宵「これも、また、戯言ですかね」
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11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/08/16(火) 10:57:00.02 ID:4VTMtEH9o
結構広い公園だった。
といっても、それは絶対的に遊具が少なく人間がいない所為だろう。広く見えているだけ
なのだ。端っこの方にブランコと、猫の額ほどの砂場があるだけで、他には、シーソーもな
ければジャングルジムもない、滑り台すらない。僕としては、公園というその場所は、本来
もっと思い出深い座標なのだが……まあ、いい、語る必要のない戯言は、語るべきではない。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/08/16(火) 10:57:39.59 ID:4VTMtEH9o
それにしたって、日曜日の公園に、僕しかいないだなんて、まるで世界に僕一人しかいな
いみたいじゃないか。とても孤独だ。とてもとても孤独だ。しかし、この状況こそが僕には
ふさわしいのかもしれなかった、こんな――生きているだけで――他人を殺してしまうよう
な――できそこないの僕には――独りこそふさわしい。
「戯言なんだろうけどな、ったく」
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/08/16(火) 10:58:29.77 ID:4VTMtEH9o
002
「あらあら、これはこれは。公園のベンチの上に犬の死体が捨てられていると思ったら、阿
良々木くんじゃないの」
人類史上恐らくは初めての試みになるであろう奇抜な挨拶が聞こえた気がして、地面から
顔をあげると、そこにいたのは、見知らぬ可愛い女の子だった。ポニーテイル風に結わえて
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/08/16(火) 10:59:03.25 ID:4VTMtEH9o
「それとも何。うぶな阿良々木くんは、私のチャーミングな私服姿に見蕩れちゃって至福の
瞬間ということ?」
そんな、面白くも何ともない駄洒落を聞きながら、必死に考える。誰だこの子は……クラ
スメイトなのだろうか。
「それにしても、見蕩れるの蕩れるって、すごい言葉よね。知ってる?草冠に湯って書くの
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/08/16(火) 10:59:59.85 ID:4VTMtEH9o
「……」
「……」
「……」
「……」
き……気まずい……これは……この状況は何だというのだろうか……
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/08/16(火) 11:00:36.38 ID:4VTMtEH9o
「……」
「……」
「……」
なんだこれ……まじで何だこの状況…………
「ところで、阿良々木くん。隣、構わないかしら?」
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/08/16(火) 11:01:35.73 ID:4VTMtEH9o
「いや、お礼だなんて」
「謙遜しなくてもいいわ。阿良々木くんがいなかったら、私、あの蟹に殺されていたのかも
しれないし」
「蟹?」
あっ!
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/08/16(火) 11:02:54.89 ID:4VTMtEH9o
「私――阿良々木くん。私は、阿良々木くんのこと、親しく思ってもいいのかしら?」
「そりゃ、勿論。この戯言遣い、あなたに危害を加えないことを約束しましょう」
「……そういう意味じゃないのだけれどね」
「というかそのキャラは何?」と、突っ込まれたが、詳細は僕にもわからない。
「そう……そうね、お互い、弱みを握り合った仲だものね」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/08/16(火) 11:03:21.55 ID:4VTMtEH9o
「とにかくね、阿良々木くん。阿良々木くんがなんと言おうと、私は、あなたに、お返し
がしたいと思うのよ。そうでないと、私はいつまでも、阿良々木くんに、引け目のような
ものを感じてしまうと思うの。仲良くやっていくというなら、それが終わって初めて、私
達は、対等な友達同士になれると思うの」
「友達……」
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/08/16(火) 11:03:57.36 ID:4VTMtEH9o
「いきなりこんなことを言われても、阿良々木くん、やっぱり戸惑っちゃうかしら?だっ
たら、そう、ああいうのでもいいわよ。ほら、その一つの願いを百個に増やして欲しいと
か」
「…………え?それありなの?」
絶対服従宣言みたいなものじゃないのか?
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/08/16(火) 11:04:39.56 ID:4VTMtEH9o
「仮にそんなような交渉が成立してしまったら、僕達の間に、その後の友情はありえなく
なると思うんだよ」
「成立しなくても、あなたはその後の友情とやらを育むつもりはないように思うけれど」
「そんなことはないよ」
多分。
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