101:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:13:24.66 ID:CGXDMCHp0
*
次の日、汀は頭をふらふらさせながら、車椅子に乗っていた。
それを押しながら、圭介が半ばノンレム睡眠状態に入っている汀を、息をついて見る。
赤十字病院の入り口には、多数の報道陣が待ち構えていたため、裏口から入って、今、施術室へと向かっているところだ。
102:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:14:21.06 ID:CGXDMCHp0
「……精神世界で殺されると、現実の肉体にも多大なる影響が及ぶ。あの子達は、もうマインドスイープ出来ないかもしれない」
「無駄話をしている暇はない。早く準備に取り掛かかってください」
圭介は大河内の声を打ち消し、固まっている周囲に向けて、淡々と声を上げた。
103:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:15:13.88 ID:CGXDMCHp0
「できるさ。秘策を持ってきた」
「秘策?」
圭介はそこで、車椅子の後ろ部分に取り付けてあった小さなケージをあけ、中から小白をつかみ出した。
104:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:15:57.95 ID:CGXDMCHp0
そう言って圭介は、汀の手首に、小白の首に繋がっているリードを結んだ。
そして小白を彼女に抱かせる。
猫はすぐに汀の膝の上に丸くなると、顔を上げて、ニャーと甘えた声を出した。
それを見て、とろとろとした表情だった汀が、笑顔になる。
105:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:16:34.21 ID:CGXDMCHp0
*
汀は、いつもの病院服で暗い地下牢のような場所に立っていた。
「…………」
106:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:17:29.64 ID:CGXDMCHp0
「……圭介?」
『汀、時間がない。短く説明するから、すぐにその患者の中枢を見つけてくれ』
「私、ダイブしてるの?」
107:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:18:17.44 ID:CGXDMCHp0
「トラウマを見つけたよ。見つけられたって言ったほうが早いかな?」
『すぐに離れろ』
「無理っぽい」
108:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:18:44.61 ID:CGXDMCHp0
張り飛ばされ、男は簡単に床を転がり、壁にたたきつけられた。
汀は鎖を手で引きちぎり、それを脇に放り投げてから、鉄格子の空いた場所から外に出た。
そして、いくつも並んでいる牢屋の部屋の前を駆け出す。
少し行ったところに階段があり、その先のドアが開いていた。
そこに飛び込み、ゴロゴロと転がる。
109:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:20:15.50 ID:CGXDMCHp0
「マインドスイーパーだと思うけど、見つけたよ。トラウマに捕まってる」
汀がそう言うと、マイクの向こうで圭介は少し考え込み、言った。
『救出できるか?』
110:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:21:28.60 ID:CGXDMCHp0
第3話はここで終わりです。
続いて第4話を投稿させていただきます。
111:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:23:31.62 ID:CGXDMCHp0
圭介は、白衣のポケットに手を突っ込んだまま、病室をゆっくりと見回っていた。
その隣で資料をめくりながら、大河内が重い口を開く。
「こっちの区画は、もう駄目だ。お前の探してる適合者は、見つからないよ」
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