過去ログ - 酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった5
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324:れいまぁ ◆9ozEqs2lE0cc[saga]
2012/04/01(日) 01:49:45.40 ID:5ErbohVa0
 久代祭の天狗飴。
 この島の子供達にとって、それが何か特別だという意識は無い。
 無かったのだが、ついこの前本土から引っ越してきた女の子が、この話を聞いて目を輝かせていた。それ以来、この祭の天狗飴はこの島だけの特別なこと、そんな認識が小学生達の中で広がっていた。
 それで気になった少年は図書館に行って調べてみた。なぜに天狗なのか。仮面を被ってバイクにまたがるヒーローではダメなのか。分厚くて埃まみれになった、『久代島、昔話』によるとこうだ。
 元々久代祭の天狗飴は戒めの意味で始めたらしい。
以下略



325:れいまぁ ◆9ozEqs2lE0cc[saga]
2012/04/01(日) 01:50:36.22 ID:5ErbohVa0
 (神隠しか……)

 連れ去られた世界ってどんな世界なんだろう。と、少年は考える。
 誰かが帰って来たという話は聞かないし、そんなに居心地のいい世界なんだろうか。と、少年は夢想してみる。
 きっと毎日が楽しくて、動物と遊び回れて、宿題が無い世界なんだ。と、少年は決め付ける。
以下略



326:れいまぁ ◆9ozEqs2lE0cc[saga]
2012/04/01(日) 01:52:14.81 ID:5ErbohVa0
 少女が母親に懇願し、目一杯背伸びをしたおめかし姿。
 の成れの果てだった。せっかくの浴衣は着崩れて、帯はゆるゆる髪はボサボサ。

 「あ、キモノ着てる!」

以下略



327:れいまぁ ◆9ozEqs2lE0cc[saga]
2012/04/01(日) 01:53:43.04 ID:5ErbohVa0
 「違うよ。天狗じゃない、あの島に行こうと思うんだ」

 少年が指差す先にあるものは、島。海を挟んで数百メートルの所に、小さな島があった。
 渡行禁止の島、離れ島、ちいじま。
 呼び名は色々あるが、正式な名称を知る者は少ない。
以下略



328:れいまぁ ◆9ozEqs2lE0cc[saga]
2012/04/01(日) 01:55:22.98 ID:5ErbohVa0
 「……」

 しかしこの少年からすればこれ以上ない不可思議に違いない。むしろ今まで興味を持たなかったのがおかしいくらいなのだ。

 「で、でも。それに道はすぐ消えちゃうって。危ないよぉ」
以下略



329:れいまぁ ◆9ozEqs2lE0cc[saga]
2012/04/01(日) 01:58:00.91 ID:5ErbohVa0
 ドンドンドン。ピーヒャララ。

 「はっ、はっ、はっ」

 少年達は走った。離れ島に通じる海の道が現れるという場所まで。
以下略



330:れいまぁ ◆9ozEqs2lE0cc[saga]
2012/04/01(日) 01:59:20.33 ID:5ErbohVa0
 「ふー……」

 半分ほど進んだところで、少年は何かに惹かれるように後ろを振り向く。

 「……」
以下略



331:れいまぁ ◆9ozEqs2lE0cc[saga]
2012/04/01(日) 02:00:40.62 ID:5ErbohVa0
 「そうかなぁ」

 「そうだよ、絶対そう!!」

 二人が話しながら歩いていると、少年は石造りの階段を見つける。手すりが無く、草が生い茂った状態の石階段。
以下略



332:れいまぁ ◆9ozEqs2lE0cc[saga]
2012/04/01(日) 02:02:00.89 ID:5ErbohVa0
 「ほっ、ほっ!!」
 
 もうあと少し。
 少年が石階段から顔を出すと、

以下略



333:れいまぁ ◆9ozEqs2lE0cc[saga]
2012/04/01(日) 02:02:54.78 ID:5ErbohVa0
 「うーむ」

 少年は唸る。早くも万策が尽きてしまった。なんて聞いてみたらよいものか。
 少年が腕を組み、頭を捻っていると、天狗が少年に近づいて右拳を差し出してきた。

以下略



334:れいまぁ ◆9ozEqs2lE0cc[saga]
2012/04/01(日) 02:03:57.41 ID:5ErbohVa0
 「……」

 天狗は飴の乗った自分の手をずっと眺めている。表情はうかがえないので、天狗が何を考えているのか知る術は無い。

 「今日もらったやつだから腐ってないよ?」
以下略



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