953:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/19(土) 23:06:54.27 ID:PkPM/mEHo
その日の昼休み、僕はこれでさっきから何度目かわからなくなっていたけど、朝の出来事を思い返してそのことの持つ意味を考えていた。朝の校門の前で、どうして妹はあそこまで僕に肩入れしたのか。副会長と僕のトラブルなんか彼女には全くかかわりのない話だった。妹は副会長とは面識すらなかったのだし。副会長が僕が生徒会室に顔を出さないことで責めていた言葉を聞いて、妹は罪悪感を感じたからだろうか。
でも、それも不自然だ。僕はそう思った。副会長は直接的には僕が部活にかまけていることを責めたのではなく、僕が幼馴染を避けようとして生徒会活動に参加しなくなったことを責めていたのだ。だから妹が副会長の言葉を聞いたとしても、その言葉に彼女が罪悪感を感じる必然性はないのだった。
妹が僕のことが好きで、その僕が副会長に責められていることに我慢ができなかったからか。そう考えたい気持ちは僕の心の底に根深く存在していたけど、冷静に考える癖がついている僕の心の他の部分によってその希望は明確に否定された。
954:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/19(土) 23:10:04.52 ID:PkPM/mEHo
ふと気がつくと教室内にはもうあまり生徒たちは残っていないようだった。学食や購買に行く生徒たちは昼休みのベルと共に教室を出て行ってしまったから、ここに残っているのは教室の机を寄せ合わせて何人かのグループでお弁当を広げている生徒たちだけだった。今日は秋晴れの
陽気だったから弁当持参の生徒たちも中庭や屋上に行っているのか、教室に残って食事をしている生徒は数人くらいしかいなかった。
あまり食欲はないけど午後の授業中にお腹が鳴ったりすると恥かしい。僕は購買で余り物のパンでも買うことにして席から立ち上がった時、教室のドアから誰かを探しているように室内を覗き込んでいる下級生の姿に気がついた。
955:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/19(土) 23:11:42.36 ID:PkPM/mEHo
屋上のベンチにも結構人がいたけど、どういうわけか前に妹と一緒に座ってモバイルノートで女神スレを見た時のベンチが空いていたので、僕たちはそこに腰かけた。妹は持参していた可愛らしい巾着袋を開けてお弁当が入ったタッパーを取り出した。
「先輩、どうぞ。美味しくないかもしれないけど」
僕は妹に勧められるままに小さなおにぎりや、ちまちまとした綺麗な色彩のおかずを食べたのだけど、もちろん味わって食べる余裕なんてその時の僕にはなかった。
956:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/19(土) 23:14:36.36 ID:PkPM/mEHo
いくつかのパソコンの画像をチェックしているうちに彼女はある機種が気に入ったらしかった。
「これすごく薄くていいなあ」
「別に可愛くはないよね。あと、それマックだし」
957:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]
2012/05/19(土) 23:15:50.70 ID:PkPM/mEHo
短い上に何も進展していない・・・・・・
辛抱強くお付き合いくださっている方に感謝します
できればまた明日更新したいと思います
958:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)[sage]
2012/05/19(土) 23:47:17.75 ID:zyfkPX3so
はいおつおやすみ
959:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/05/20(日) 04:14:44.01 ID:Q6kduw6+o
三日分纏め読みした。
妹ちゃん、兄の為なら形振り構わないって感じだな。
無意識に会長の自己中見抜いて利用している感じ。
960:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/20(日) 23:50:55.22 ID:bkFoiF+Fo
その夜、僕はうちの部の副部長が密かに開設し管理人をしている裏サイトを覗いてみた。そのサイトはくだらない校内の噂や、どうでもいい悪口で盛り上がっている低レベルの掲示板だと僕は断定していたから、このサイトを見るのは久しぶりだった。
とりあえず最近のレスの付近を中心に見て行くと、探していた女と兄君関係のレスが付いているのを見つけた。
961:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/20(日) 23:53:00.89 ID:bkFoiF+Fo
翌朝、僕は登校中に妹と出会わないかと期待したのだけど、彼女の姿は見当たらなかった。そしてこれは幸いなことに僕は副会長にも遭遇することなく教室に辿り着いたのだった。
昼休みになって今日は学食か購買かどっちにしようかと迷いながら教室を出たところで、僕は教室の前で所在なげに佇んでいる妹に気がついた。
昨日の裏サイトのレスを思い出して気が重くなった僕は、無理に笑顔を装って妹に声をかけた。
962:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/20(日) 23:54:17.67 ID:bkFoiF+Fo
僕たちは黙って屋上のベンチに座っていた。僕は相変わらず妹の肩に手を廻して彼女を抱き寄せていた。妹は別に抵抗する素振りを見せるでもなく俯いているままだった。
そのまま数分が過ぎた頃、妹はようやく顔を上げて言った。
「ごめんなさい、先輩。せっかくの昼休みなのに心配させちゃって」
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