過去ログ - 少女「ずっと、愛してる」
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200:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/10(金) 20:22:28.87 ID:oNd+Ad/T0
「ルケン様……?」

監察官が驚いたように声を上げる。それを聞いて、一瞥もせずに歩きながら彼は言った。

「このあたりに所用があったから寄っただけだ。他意はない」
以下略



201:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/10(金) 20:23:00.07 ID:oNd+Ad/T0
「じゃ……彼女を宜しく」

「お任せ下さい」

「それと……」
以下略



202:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/10(金) 20:23:27.73 ID:oNd+Ad/T0
途端、カランはポケットに入れていた手に衝撃が走るのを感じ、慌ててそれを外に出した。

「潰しておかないといけないって、思わないかい?」

言い残し、コツ、コツ、コツとルケンは玄関の方に歩いていった。
以下略



203:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/10(金) 20:23:55.70 ID:oNd+Ad/T0
手を胸の前で開き、唖然とした後……その指先が震え出すのが分かった。恐怖でも、動揺でもなかった。
何だかもっと良く分からない……。
もっと、青い感情だった。
ゼマルディからもらったサクサンテの花が、まるで小型の爆薬で炸裂させられたかのように粉々に飛び散っていたのだ。

以下略



204:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/10(金) 20:26:42.97 ID:oNd+Ad/T0
お疲れ様です。第7話に続かせていただきます。

詳しいご案内は>>173でさせていただいています。
ご一読いただければ嬉しいです。

以下略



205:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/11(土) 18:59:01.08 ID:87ru5DuQ0
こんばんは。第7話、第8話を投稿させていただきますー。


206:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/11(土) 19:01:18.54 ID:87ru5DuQ0
7 願い

 妹は、許してはくれなかった。
元々数十年も喧嘩をしたことがなかった仲の良い姉妹だったからこそ、その反動は大きかった。
ヤナンの方も時間が経てば当然怒りも薄れ、火照っていた頭も冷静さを取り戻していく。しかし彼女は彼女で、姉という不必要な枷を突き放すという最後の砦を侵してしまった分、やはり自分の方から声をかけるのははばかられるようだった。
以下略



207:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/11(土) 19:01:47.14 ID:87ru5DuQ0
カランに回されるシーツやカーペットは一様に使い古されたものばかりだ。本来十七歳という年齢に達すると、年長……及び婚期が近いとして身の回りが新調されるはずなのだが、言い出せずにずるずるとここまで来ている。使っているものは殆ど幼児の頃からのもので、本以外はボロボロだ。
繕い跡で一杯のシーツに倒れこんで、うつ伏せになりカランは息をついた。
食堂。
その自分と対極側で友達の女の子達十数人と一緒に楽しく食事を取っている妹の光景が頭にちらついていた。
それに引き換え、自分はどうだろう。
以下略



208:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/11(土) 19:02:26.75 ID:87ru5DuQ0
でも、ここ数日でその世界がガラリと一変した。

――そう、思っていた。

そう……思いたかった。
以下略



209:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/11(土) 19:03:12.65 ID:87ru5DuQ0
ゼマルディの花は、芯に当たる部分が砂のように砕けてしまっていた。どんなに握ってもびくともしなかったのに、何故壊れてしまったのか分からない。先ほどまでは分からなかったが、衝撃を受けた彼女の右手。その親指から中指までが青黒くなり、内出血を起こしていた。何か打撃を加えられた痕のようだった。
むくりと起き上がり、ベッド脇の棚から裁縫道具を取り出す。彼女が唯一周りに誇れるのは、これ……裁縫の腕前だった。刺繍などは得意だが、注目されるのが怖いので、人前で行ったりしたことは殆どない。

「直るかな……」

以下略



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