48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]
2012/05/20(日) 14:47:40.24 ID:Jdmnkfsdo
文章に引き込まれるのもあるけど、
キリカがこんなにちゃんとキリカしてるSSは貴重
これはもう楽しみにするしかないじゃない
49: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/06/07(木) 01:15:59.07 ID:gQCy6oSp0
だいぶ間が開きましたが、これより投下いたします
ついでに識別として鳥付けてみるテスト
50: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/06/07(木) 01:16:50.34 ID:gQCy6oSp0
3人は暗がりの中を歩いた。先頭はキリカで真ん中が織莉子、後ろには巴マミが尾いている。
どろどろとねばついた汚水が膝上まである排水溝のような真っ暗闇のトンネルで、織莉子の創りだした水晶球がランタンのように輝いている。
当然、全員の衣装は既にぐちゃぐちゃで、白、黒、黄色を基調としたそれぞれの格好は見るも無残な有様と成り果てていた。
嗚咽しそうな臭気に全員が顔をしかめる。
51: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/06/07(木) 01:17:39.22 ID:gQCy6oSp0
結界内部は荒涼としていた。
スクリーンのような滑らかさを持ったビルディングがいくつもそびえ、それらは胸を締めるような圧迫感を伴って通路の両側に在った。
その窓は墨で塗ったかのように真っ黒で、虚無が口を開けているというよりもむしろ画用紙に色を付けたように何の立体感も無かった。
歩く地面はやはりスクリーンのような滑らかさを持った一枚板で、土とアスファルトと草とがコンピュータ・グラフィックスのようにのっぺらとした質感を放っている。
52: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/06/07(木) 01:18:29.43 ID:gQCy6oSp0
ふつう魔法少女は、遠隔の仲間たちとの意思疎通手段としてテレパシーを用いる。
この場合で言うテレパシーというのは、先ず伝えたいと思った思念をキュウべえが拾い上げ対象へと送り届ける、キュウべえを必ず介する遠隔意思機構だ。
それは言うなればサーバーを介したメールの送受信のようなもので、その内容は他者に、そして何よりもサーバー役のキュウべえには筒抜けとなってしまう。
美国織莉子と呉キリカはそれを疎んじた。
53: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/06/07(木) 01:19:18.25 ID:gQCy6oSp0
***
キリカの爪が扉を斬り飛ばすと、その先は先ほどまでの市街地とは打って変わったコロッセオのようなドーム状空間だった。
住居を砲撃して吹き飛ばした跡のような石壁がそこかしこに点在していて、まるで墓標のように地に暗い影を落としている。
54: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/06/07(木) 01:19:50.40 ID:gQCy6oSp0
ふ、と織莉子の笑う声が聞こえた気がした。
(そうね、"私"では到底無理な相手でしょう。
私はキャパシティが特殊能力に偏ってしまっているせいで、お世辞にも高い攻撃能力を持っているとは言えないわ。
キリカも特殊能力に重きを置いているタイプで、やはり火力は高くない)
55: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/06/07(木) 01:20:44.31 ID:gQCy6oSp0
(私の武器は――結界の初めの方でも見せたように水晶球よ。
けれど私は、私固有の能力の副次的な産物として、ある程度の強度を持った魔力糸をも操ることが出来る。
頭からもこもこと糸が生えるだなんて少しみっともないのだけれど、生きるか死ぬかの戦いにそんなことは言っていられないものね)
秘密の隠し事を開陳する幼子のようにはにかんだ口調で、織莉子は語る。
56: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/06/07(木) 01:21:44.13 ID:gQCy6oSp0
結界が崩れ去る。
織莉子が話を終えて数秒後のことだった。
キリカの、本来は3つの爪は一枚に畳まれ二回りほど大きなブレードと化し、魔女だか魔男だか分からない風貌のそれを唐竹割にした。
刹那、世界はぐにゃりと歪む。
57: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/06/07(木) 01:22:24.11 ID:gQCy6oSp0
「貴女も感じているでしょうけれど、私、学校ではあまり立場が良くないの。
そこでお願いなのだけれど、巴さんには、学校で私との接触を出来る限り絶ってもらいたいの。
もちろん、テレパシーには応じるしメールだって大丈夫だけれど、直接話すのは遠慮して頂きたいわ」
「私は――」
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