過去ログ - 織莉子「私の世界を守るために」
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68: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/07/01(日) 10:22:47.41 ID:CrDlQ2SM0
生存報告。
もう少しだけお待ちください。

書きたいテーマに対して文章力が追いつかないという不測の事態が発生しまして、これまで四苦八苦しておりました。
山は越えたので、来週中には投下したいと思います。


69: ◆qaCCdKXLNw[sage saga]
2012/07/17(火) 03:48:01.51 ID:yIkrPX160
 かつて、美国織莉子の世界は一つだった。
それは厳密に言えば二つだったのだけれど、両者は不可分で、それぞれが分かたれ難いものとして彼女の中に併存していた。

 一つ目は、世の中への奉仕、というやつだ。
幼い頃からそれを掲げ働いてきた父の後ろ姿を見てきたからだろうか、織莉子はずっとそれだけを胸に生きてきた。
以下略



70: ◆qaCCdKXLNw[sage saga]
2012/07/17(火) 03:50:14.68 ID:yIkrPX160
 そうした報道が、生前と死後とでの美国久臣の評価を一転させた。

 清廉潔白な新進気鋭の国会議員は、薄汚い税金泥棒の名を宛がわれた。
久臣の選挙姿勢はそのクリーンな政治を標榜してのイメージ戦略がその柱だったので、その痛手は一般的な国会議員よりももっとずっと大きかった。

以下略



71: ◆qaCCdKXLNw[sage saga]
2012/07/17(火) 03:51:29.59 ID:yIkrPX160
 「美国織莉子」という存在を構築する二柱を喪った織莉子は、どうにかして自らを保つために、新しい価値観を必要とした。
自分にはいったい何が残されている。「わたし」という人間が依るべき価値は、自分にはどれだけ残っている。

 再び縋りつくものの必要性に駆られた織莉子が最後に選んだのは、あまりにも簡単な答えだった。

以下略



72: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/07/17(火) 03:52:43.94 ID:yIkrPX16o
 織莉子が学校へ行くと、彼女の席は無かった。学級名簿には、織莉子の名は無かった。
生徒会長には、ついこの間までは副会長をやっている娘の名があった。実直で、織莉子をよく慕ってくれていた子だった。

 信じられなかった。何が起こったのか分からなかった。
急いで職員室に向かうと、汚いものを見る目が送られ、
以下略



73: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/07/17(火) 03:53:56.98 ID:yIkrPX16o
 織莉子は目を覚ました。今が夜なのか昼なのかも分からない。分厚い遮光カーテンが、織莉子の部屋の外の風景をほとんど完全にシャットアウトしているからだ。
豆電球の付いた薄暗い部屋の中でぼんやりと見える時計から察するに、針は12時ちょと過ぎを指しているところだったが、そんなものはもはや織莉子にとってはなんの意味も持ってはいない。

 織莉子は出来る限り寝ていたいと思った。少なくとも、睡眠中には頭をあれこれ巡らせる必要はない。
寝ている間には大概ろくでもない悪夢――在りし日の思い出だったり、やたらと誇大強調された父の死にざまだったりを見ることにはなるのだが、それは所詮夢なんだと割り切ることでなんとか叫びだすのは我慢することが出来る。
以下略



74: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/07/17(火) 03:54:30.42 ID:yIkrPX16o
 織莉子は契約した。そして魔法少女になった。
その代償は、「織莉子自身の生きる意味を知りたい」というものだった。

 父は死んだ。受け継いだ想いも否定された。いや、そもそも父はその想いを抱いていたのだろうか。
だがそれでも、私は世界に尽くそうと思った。飽くまでも私自身の意志で。でもそれすらも、私が私であることすらも、世界は否定した。
以下略



75: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/07/17(火) 03:55:03.32 ID:yIkrPX16o
 




以下略



76: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/07/17(火) 03:55:47.99 ID:yIkrPX16o
 もちろん、唐突に地球がぱかっと割れて爆散した――なんて馬鹿げたことが起こったわけじゃない。
けれど実際に起きたのは、それと同じくらいに馬鹿馬鹿しいできごとだった。

 その宙に浮かぶ巨大な魔女からほんの少し離れた地点、そこから目も眩むばかりにまばゆい桜色の光が興った。
それは光を放ったまま中空へと昇っていくと、そこから輝く桜色の矢が撃ち出されて魔女に突き刺さる。
以下略



77: ◆qaCCdKXLNw[saga]
2012/07/17(火) 03:56:33.76 ID:yIkrPX16o
 魔法少女となった織莉子は、すぐさま行動を開始することにした。

 そうは言っても策を実行することはできない、先ずは下準備として、あの逆さま魔女を撃破した魔法少女が誰であるのかを識ることが専決だった。
世界が崩壊するさまを何度もまざまざと見せつけられるのは心にくるものがあったが、四の五の言ってはいられない。

以下略



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