過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/04/24(火) 23:21:47.82 ID:qSbSwrSBo

 彼女は諦めたように視線を落とし、サンドウィッチを口に運ぶ。
 その様子を横目で警戒しながら、俺は周囲をうかがった。
 
 場所はおそらく、うちの学校の体育館裏だろう。大きな切り株があって、俺と後輩はそれを椅子代わりにしていた。
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/04/24(火) 23:22:15.46 ID:qSbSwrSBo

 今度は春か、と俺は思った。さっきまでは夏だった。……いや、九月だったから、秋だろうか? 夏休みが終わった直後だから、まだ夏かもしれない。
 まぁ、九月が夏だろうと秋だろうと、どちらでもかまわない。いずれにせよ、ついさっきまでは九月だったことには変わりない。

 ここ最近――六月の半ば過ぎから九月上旬まで――の俺には、こういうことがよくあった。
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/04/24(火) 23:22:53.10 ID:qSbSwrSBo

 ただの白昼夢であると考えるのがいちばん自然だが、それはそれで困ったことになる。

 俺の中には、

以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/04/24(火) 23:23:24.39 ID:qSbSwrSBo

 世の中に不思議なことはありふれているが、それも話で聞くのと自分の身に降りかかるのでは話がまったく違う。
 最初は何が起こっているのかと不安に思ったものだが、何度も繰り返しているうちに慣れてきた。
 より正確に言えば、気付いたのだ。この"ズレ"が何かをもたらすものではないということに。

以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/04/24(火) 23:24:07.38 ID:qSbSwrSBo

 不意に、隣に座る後輩が顔を上げた。俺は面食らってのけぞる。
 彼女は懇願するような表情で、「大丈夫ですよ」と言った。

「忘れないでください」
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/04/24(火) 23:24:41.64 ID:qSbSwrSBo




 もし「校内でいちばん指が綺麗な男子は」と問われたなら、迷わず「トンボだ」と答える。
以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/04/24(火) 23:25:11.63 ID:qSbSwrSBo

 俺とトンボは同じ部活に所属している。小学校の頃からずっと一緒のクラスだ。 
 そういう面だけ見れば、トンボと俺はかなり長い付き合いになる。だが、あくまでそれは表面上の話だ。

 毎日のように顔を合わせているにも関わらず、俺は彼と三回しか話をしたことがない。
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/04/24(火) 23:25:47.20 ID:qSbSwrSBo

 お前がこんな部に入るなんて意外だと言うと、今度は自然な微笑を浮かべ、

「そっちは別に意外じゃないね」

以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/04/24(火) 23:26:14.50 ID:qSbSwrSBo

「意外だ」と口に出すと、彼は照れくさそうに笑って、「そうでもないだろ」と言った。

 たしかに、そうでもない。
 子供時代から品行方正だったトンボの本心を、俺は以前からかなり疑わしく思っていた。
以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/04/24(火) 23:27:10.82 ID:qSbSwrSBo

「なにが?」

「自分が」

以下略



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