468:幸せの味[saga]
2013/07/01(月) 23:49:51.71 ID:zo/zVMQg0
女は暖簾の奥に消える。
頭の中では昼と夜に食べたマミとの食事を思い出しては消し、何が出てくるのかを想像する。
469:幸せの味[saga]
2013/07/01(月) 23:51:45.29 ID:zo/zVMQg0
「ん、お待たせしました。C定食になります」
いつも以上に早い登場に、杏子は目を丸くする。
470:幸せの味[saga]
2013/07/01(月) 23:54:15.33 ID:zo/zVMQg0
「なんなんだよこれは! これが定食だって言うのかよ!」
しかし女は、悪びれる様子はなくカラっと答える。
471:幸せの味[saga]
2013/07/01(月) 23:55:11.48 ID:zo/zVMQg0
しっとりとしたスポンジが口の中でほぐれ、じわりと二つのクリームが融合する。
重過ぎない甘さが、疲れていた胃に負担を掛けないようにしっくり収まる。
472:幸せの味[saga]
2013/07/01(月) 23:56:48.27 ID:zo/zVMQg0
それはほんの数か月前。
仲直りというわけではなく、ただの昔馴染みとして情報を交換するために訪れた巴マミの家。
473:幸せの味[saga]
2013/07/01(月) 23:57:31.24 ID:zo/zVMQg0
そして再びケーキにフォークを入れたところで、現実に引き戻されていく。
474:幸せの味[saga]
2013/07/01(月) 23:58:51.89 ID:zo/zVMQg0
少しずつ切り分けては少しずつ食べていく。
いつまでも終わってほしくないこの感覚を、しかし引きずるわけにもいかず、やがて最後の一口を飲み込み完食する。
475:幸せの味[saga]
2013/07/02(火) 00:00:05.93 ID:pFaThh6C0
「どういう、意味だ」
「あんたが笑顔になってる訳を考えれば分かるよ」
476:幸せの味[saga]
2013/07/02(火) 00:00:40.85 ID:pFaThh6C0
477:幸せの味[saga]
2013/07/02(火) 00:02:28.19 ID:pFaThh6C0
「そうそう。うち、明日で店を閉めるんだよ」
まるで明日の天気の話でもするように、女はするりと口を滑らせる。
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