61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:31:43.52 ID:B8whUwhOo
受話器を置きますと、すぐにまたどこかへ掛けなおしています。
「あ、プロデューサーさんですか? 私です、音無です。雪歩ちゃんがまだ家に帰っていないそうで……」
なにがあったという訳でもなし、何故ここまで心配しているのでしょうか。
62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:32:21.70 ID:B8whUwhOo
「雪歩ちゃんはね、なんて言うか支えてあげたくなるところがあるの。
強い自分になりたくて、弱い自分を変えたいって頑張ってるから応援したくなっちゃうのよね」
意外です。
63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:33:15.84 ID:B8whUwhOo
とは言ったものの、この広い街で人一人を見つけるのは言うほど容易くはありません。
父上ならば眼を使ったでしょうし、母上ならば眷属を使役して探したでしょうが、
まだまだ修行中である私には地道に探すしかありません。
64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:33:46.80 ID:B8whUwhOo
れっすんるぅむには人の気配がありませんでした。
それなのに扉は施錠されておりません。
私は一抹の不安を感じながら扉を開きました。
65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:34:22.02 ID:B8whUwhOo
抱きかかえると一目で危険な状態だとわかりました。
顔面が蒼白に、息は細く途切れがちでした、
額に手を当てると信じられないほど熱く、指先が細かく痙攣しておりました。
66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:34:47.68 ID:B8whUwhOo
「うぅん……」
「起きなさい、萩原雪歩殿。こんなところで寝ていたら体を悪くしますよ?」
「あ、あれ? あれ?」
67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:35:15.65 ID:B8whUwhOo
すっかり日が落ちたというに、散在する街灯が夜を薄くしています。
「怒られちゃいましたぁ……」
68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:35:56.29 ID:B8whUwhOo
「あの……、また迷惑をかけちゃって……」
ですが、勘違いは正さねばなりません。
「違いますよ。雪歩殿」
69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:36:47.88 ID:B8whUwhOo
「謙遜も過ぎれば厭味となりますよ?」
「す、すいません……」
「いえ、そこもあなたらしいと言うべきでしょうか。
70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:37:16.85 ID:B8whUwhOo
「…………」
「ですがこれだけは言わせていただきます。
幼木が大樹になるには時間が必要なのです。
……焦らずともいずれ立派に茂るのですから、無理はしないよう自愛なさい」
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