2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 19:47:36.69 ID:NZSihzP+o
――1日目
「はい、はい。わかりました。いえ、そんな……ありがとうございました。失礼します」
受話器を置いて、私はふうとため息を吐く。
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2012/08/24(金) 19:48:35.83 ID:NZSihzP+o
「無事を祈りたいけど……これだけ時間が経っていると」
「それは……。わかりますけど、私たちは希望を失わずにいましょうよ。涼たちを暗くさせるわけにはいきませんからね!」
「そうね……」
尾崎さんが絶望的なことを呟くのに、私は努めて明るく答える。もちろん、私だって内心では……。
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 19:49:23.80 ID:NZSihzP+o
「ずいぶん山奥なんだね」
レンタカーの窓から流れる景色を眺めながら、後部座席に座る涼がそんなことを呟いた。
実際、そこにあるのは、そんな感想が出て来るのもしかたないくらいの山深い風景。
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 19:50:08.47 ID:NZSihzP+o
「あら……?」
指定された駐車場に入り、依頼者に到着の連絡を入れようとして、携帯電話の電波が入らないことに気がついた。
以前、打ち合わせの電話をした時には相手も携帯だったから、地域全体に電波が届いていないということはないだろう。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 19:51:03.70 ID:NZSihzP+o
「んぅ……」
頭の割れそうな頭痛に目を開ける。いや、開けたはずであった。
だが、視界は闇に包まれたままだ。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 19:51:47.96 ID:NZSihzP+o
「あのね、律子姉ちゃん。ぼ……私たち、拉致されたみたい」
ようやく押し出すようにして言った涼の言葉を、しばし、理解出来なかった。驚きの反応も遅れてしまう。
「えぇっ?」
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 19:52:37.71 ID:NZSihzP+o
「涼? 涼!」
『黙れ。これが最後の警告だ』
悲鳴のように、涼の名前を呼んだ。だが、返事が返ってくるより前に、私の喉を何かが締め上げた。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 19:53:26.51 ID:NZSihzP+o
その事に思い至って、私はなにかがかちかちと鳴るのを聞いた。
自らの歯の根が合わずにぶつかりあう音を。
声は、しばらく続かなかった。もしかしたら、私たちが怯えているのを見て楽しんでいたのかもしれない。
『さて、元トップアイドル様と現役アイドルを手に入れたわけだから、年増の社長や無能マネージャーとは違う楽しみ方をさせていただこう』
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 19:54:18.18 ID:NZSihzP+o
ちと休憩。
20分ほどしたら、また投下再開します。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/08/24(金) 20:04:33.97 ID:AP9dJUPCo
またえらく重そうな…
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 20:12:32.73 ID:NZSihzP+o
だが、自己犠牲の言説を唱えながらも、その裏にもっと切実なものがあることも、私は知っていた。
涼は、男だ。
そして、女性二人を捕らえたと思い込んでいる相手に、その事実が知れたらどうなるか。
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