過去ログ - 雪歩「その手」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:39:56.83 ID:+1h5mk+to

「雪歩ちゃんは、まだ帰らないの?」

帰り支度を済ませた小鳥さんが尋ねてきた。

「はい。プロデューサーとミーティングがあって」

「そう。いつも夜遅くまで大変ね。
戸締まり、お願いできる?」

「はい」

「じゃあ鍵。それじゃあお疲れさま」

私が返事をして鍵を受け取ると、ひらひらと手を振りながら小鳥さんが外へと出て行った。

ドアの閉まるところを見届けてから、視線を窓の外へと向ける。

思っていた以上に外は暗い。

もう、秋なのかなぁ。

夏の夜の明るさも、徐々に失われてるみたいだった。


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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:40:29.32 ID:+1h5mk+to

「そういえば最近、プロデューサーに会ってなかったなぁ」

平坦な声が、私しかいない事務所に吸い込まれていく。

以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:41:21.94 ID:+1h5mk+to

忙しそうだもんね、プロデューサー。

もっとも、その仕事も私のためのもの、ではなくなっちゃったんだけど。

以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:42:06.22 ID:+1h5mk+to

特にまずいことをした、というわけではない。

むしろ、私はプロデューサーと二人三脚で、アイドルとしては悪くないスタートを切っていた。

以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:42:41.14 ID:+1h5mk+to

『一人のアイドルをトップに導く前に、
所属する複数人の研究生をある程度の水準まで押し上げたいと思うのだが、どうだろう。
事務所としても、所属アイドルの底上げを図りたいんだ。
なに、君の手ならさほど時間はかからないだろう。
以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:43:32.46 ID:+1h5mk+to

私はともかく、
万が一、ほかのデビュー済みの子たちが今の地位から転げ落ちたら、
事務所は破滅の一途をたどるかもしれない。

以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:43:58.30 ID:+1h5mk+to

でも、これでよかったんじゃないかなぁ。

ふとそう思ってしまう時がある。

以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:44:47.87 ID:+1h5mk+to

それだけならまだしも、
男の人が苦手な私は、仕事先の人はおろか、
プロデューサーとまともに話すのでさえ、普通では考えられないような時間をかけた。

以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:45:42.81 ID:+1h5mk+to

プロデューサーは、毎月の第三水曜日に私とミーティングをしてくれた。

実際はミーティングと称して、
買ってきたお弁当を事務所で食べて、
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:46:11.26 ID:+1h5mk+to

そのまま腕を上げて、お気に入りの腕時計を確認する。

もう事前に言われていた時間だ。

以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:46:45.81 ID:+1h5mk+to

何をして時間をつぶせばいいんだろう。

誰かに電話でもしようかなぁ。

以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:47:12.75 ID:+1h5mk+to

ダメダメ。このままだと寝ちゃいそう。

せっかくだから、しっかりお化粧しないと。

以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:48:31.00 ID:+1h5mk+to

仕事以外では、あまりお化粧はしないんだけど今日はしっかりやろう。

肌に薄くファンデーションを乗せる。

以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:48:57.24 ID:+1h5mk+to

息を切らせたプロデューサーが事務所に入ってきたのは、
お化粧を終わらせてから三十分後だった。

「ごめん。待った……よな」
以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:50:01.40 ID:+1h5mk+to

「一人で待ってて、退屈だったろ。
今日は取材と撮影一本ずつだっけ」

「はい」
以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:50:42.43 ID:+1h5mk+to

「戸締り、完了っと」

プロデューサーが、わざとらしく指さし確認をして歩き出した。

以下略



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:51:46.04 ID:+1h5mk+to

それを見てないはずなのに、プロデューサーは背中を揺らしながら言う。

「なんか雪歩って子犬みたいだよな」

以下略



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:52:32.80 ID:+1h5mk+to

狭い階段を下りて、プロデューサーの隣に並ぶ。

「まだ暑いけど、なんかすっかり秋だなぁ」

以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:53:14.25 ID:+1h5mk+to

―――

「ここ、なんですか?」

以下略



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:54:12.59 ID:+1h5mk+to

「なんか、ごめんな」

明るいロビーの中で、申し訳なさそうな顔を浮かべながらプロデューサーが言った。

以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/17(月) 14:54:43.07 ID:+1h5mk+to

そのままの状態で中へと引きずり込まれる。

ちょっと前だと、こんなのありえなかっただろうなぁ。

以下略



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