32: ◆asJU3gh8ZA[saga]
2012/11/10(土) 19:04:37.66 ID:cEU74SRyo
「うおおお!!終わってる!もう着替えが終わっちまってるじゃねえか!!」
ぶひいいい!!と怒りの声をあげるマリコルヌ。はあ……、とその血走らせた目に落胆の色を浮かべるレイナールやギムリ、ギーシュら水精霊騎士隊の面々にティファニアはすっかりおびえてしまい、小さく震えてうずくまってしまった。
「ほほう、服従するとはいい心がけだな。じゃあさっそくそのスカートちゃんを……」
33: ◆asJU3gh8ZA[saga]
2012/11/10(土) 19:06:58.76 ID:cEU74SRyo
始祖ブリミルでもこれほどの魔力はなかったんじゃなかろうかと思わせるようなオーラを放ちながら、虚無の担い手の一人、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが、その顔を怒りに震わせながらそこに立っていた。
その殺気を直接あてられ、さしものマリコルヌでさえ恐怖のあまり失神。もとよりビビりまくっていたティファニアなどは、ルイズが入ってきた瞬間に、ひうぅ……という小さなかわいらしい悲鳴とともに意識を遠いアルビオンの森の中へとさまよわせていた。
「……えっと、その。」
34: ◆asJU3gh8ZA[saga]
2012/11/10(土) 19:08:10.49 ID:cEU74SRyo
「はい、お呼びでしょうかご主人様。」
「あなた、わたしのことを好きといったわね?」
「はい、もちろんですご主人様。」
35: ◆asJU3gh8ZA[saga]
2012/11/10(土) 19:10:05.13 ID:cEU74SRyo
「う……ん……。」
「あ、よかった。起きたんだね。」
才人が次に目を覚ました時、そこには先ほどまでぎゃあぎゃあ遊んでいたはずの水精霊騎士隊の面々も、鬼の形相で才人を見下ろしていたルイズもおらず、ただ純粋に才人のことを心配していることが伝わってくるような眼差しでこちらを見つめるティファニアだけが、才人に寄り添うような形で座っていた。
36: ◆asJU3gh8ZA[saga]
2012/11/10(土) 19:11:45.80 ID:cEU74SRyo
「どうしてそんなに笑ってるんだ?」
「いやね、サイトには楽しいお友達がいて、見てるだけで楽しいなって。」
「楽しいもんか。あの変態どもに付き合ってると疲れて仕方がない。」
37: ◆asJU3gh8ZA[saga]
2012/11/10(土) 19:13:52.34 ID:cEU74SRyo
「……でもね、同時に寂しくもあるの。わたし、サイトとはお友達だけど、あんな風に本当のお友達があまりいないから……。」
いかにも悲しそうな声で語り始めたティファニアに、才人もそっぽを向くのをやめて向き直る。
「わたし、ハーフエルフでしょ。だからみんな少しわたしとは距離があるの。ううん、みんながいじわるしてるんじゃないよ。でも、わたしにはわかっちゃうの…。みんな無理してわたしと一緒にいてくれてるのかな……って。」
38: ◆asJU3gh8ZA[saga]
2012/11/10(土) 19:17:23.86 ID:cEU74SRyo
「サイト……?」
突然の才人の行動に驚いたティファニアは、才人の腕のなかでもぞもぞと動いた。しかし才人はそれを意に介することもなく、一層抱きしめる力を強くして言った。
「俺、お前を守るから。寂しいときは一緒にいてやる悲しいときは泣きついてきてくれてもいい。ずっと、いつでもテファのそばにいてやるから……。」
39: ◆asJU3gh8ZA[saga]
2012/11/10(土) 19:21:32.35 ID:cEU74SRyo
ティファニアが言葉にできたのはそこまでだった。ティファニアの様子に耐えることができなくなった才人が、彼女の唇を塞いでいたからである。
ティファニアは突然のことにやはり驚きを隠せなかったが、才人と唇を重ねているうちに、夢のような心地で才人と唇を交わしたあの船の上での出来事が蘇ってくる。
ああ……わたし……。また、サイトと……。
40: ◆asJU3gh8ZA[saga]
2012/11/10(土) 19:23:19.29 ID:cEU74SRyo
少し時をさかのぼり、才人が目覚める数分前。
ルイズはシエスタとともに厨房にいた。
「ミス・ヴァリエール、どうしてお皿も満足にだせないんですか。」
41: ◆asJU3gh8ZA[saga]
2012/11/10(土) 19:26:00.02 ID:cEU74SRyo
「ほら、ぶつぶつ言ってないで、もうすぐご飯も出来上がるんですから、サイトさんとティファニア嬢をここに呼んできてください。」
まるで自らが主人で、ルイズが召使いであるかのような発言をするシエスタに、ルイズはなにか一言言わずにはいられなかったようで、
「あああ、アンタね。わわわ、わたしが貴族だということをわわわ、忘れてるのかしら。」
42: ◆asJU3gh8ZA[saga]
2012/11/10(土) 19:26:56.83 ID:cEU74SRyo
「あのバカメイド……いいい、いつかほんとにクビにしてやるんだから。」
シエスタとの論争に完全敗北し、ぶつぶつ文句を言いながら才人を呼びに行くことになったルイズだったが、彼女が腹を立てているのは自分をこき使うシエスタに対してのみであり、才人を呼びに行くことは決していやではなかった。
ほ、ほら、サイトってわたしにメロメロじゃない。だから、ふたりきりで、キキキ、キスとか……。
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