過去ログ - 見習い魔法使いのいつもと違う一日
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38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/09(金) 15:45:41.87 ID:iX4/EhmQo
「俺たちその草が必要なんだよ。猫が具合悪くてさ。頼むから分けてくれよ」
「猫?」
おじさんは目を丸くして、それからまた笑った。今度は意地悪な感じのする嫌な笑いだった。
39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/09(金) 15:46:11.38 ID:iX4/EhmQo
「んの野郎……!」
ルークはさっと起き上がると、馬車に追って走り出そうとした。
「待って」
その袖を掴んでリリーが止める。
40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/09(金) 15:46:49.78 ID:iX4/EhmQo
今度は馬がそれに驚いた。大きく嘶いて、そりかえる。
馬車が大きく揺れて、中からさっきのおじさんが転がり出てきた。
「ぬお!」
その手から月王草がすっぽ抜け、ルークの足下にぽそっと落ちた。
41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/09(金) 15:47:39.93 ID:iX4/EhmQo
しばらく呆然と引っ張られていたリリーだったが、はっと我に返った。
「ちょ――ちょっと。ルーク! これはまずいよ!」
「いいんだよ! あのおっさんあからさまに悪い奴っぽかったし。そんな奴に使われるよりは猫に使った方がいいってもんだろ!」
そうかなあと疑問に思ったけれど。走りだしてしまったからには仕方がない。
42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/09(金) 15:48:07.56 ID:iX4/EhmQo
「こっちだ!」
ルークがリリーを引っ張る。
開け放された時計塔の入口の方だ。横に立っている札には「一般公開中」の文字。
43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/09(金) 15:48:37.51 ID:iX4/EhmQo
「小僧どもオォォォ……!」
ぜえはあと息を切らすリリーとルークの背後にゆらりと影が差す。
おじさんは息を切らすこともなく、逆光になった暗い顔にらんらんと目を輝かせていた。
「もう逃げ場はないぞ……!」
44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/09(金) 15:49:23.34 ID:iX4/EhmQo
ぎりぎりまでリリーたちを追いつめて、おじさんの足が止まった。
「覚悟はいいか小僧ども」
「あんまりできてないかも……」
「ならあの世で後悔するんだな!」
45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/09(金) 15:49:55.99 ID:iX4/EhmQo
おそるおそる目を開けて。風の魔法が成功したことを悟った。
これだけ高いところならば風たちにも声が届く。
隣を見ると、月王草を持つ反対の手で帽子を押さえてルークが宙に浮いていた。
46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/11/09(金) 15:50:33.96 ID:iX4/EhmQo
あともうちょっと
47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]
2012/11/09(金) 20:40:17.51 ID:3nwyPmuAO
乙
絵本を読んでるような懐かしい気持ちになれる話だ(*´Д`*)
48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/09(金) 20:55:54.80 ID:iX4/EhmQo
村まで戻るともう夕方だった。
結構な距離を歩いたのと町での騒動でもうへとへと。
いつもより一日が長かったようにも感じる。
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