過去ログ - 木場真奈美「木場サンタ?」
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37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 02:25:27.16 ID:ciVG5wjy0
――さぁ、舞台は整った。私は落ち着いて喉をやわらげたのち、普段とは違う中性的な声で、幸子に話しかける。
もちろんこの声は、私のものではない、サンタの声だ。
……そのつもりだ。

「こんばんは、幸子さん」
以下略



38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 02:27:11.86 ID:ciVG5wjy0
私の頭には、一つの策があった。

「明日はそれを身につけて仕事に向かうといい。そうすれば――君の望んだ世界が、少しは見えるはずだ」
「本当ですか?」
「本当だとも。ただ……君のファンや、君のイメージすべてを変える力は、残念ながら私にはない」
以下略



39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 02:34:23.25 ID:ciVG5wjy0
「プロデューサーさんですか〜? 夜分遅くにすいません〜、ちょっと聞きたいんですけど、幸子ちゃんのプロデューサーさんって――」

イヴに上着を返し、また雪の中を悠々と飛ぶ私たち。
幸子のところでなんとか仕事を全うしたことで、ひとまずは喜び合う私たちだったが、まだひとつ仕事が残っていた。
まずは私たちのプロデューサー君に電話して、幸子のプロデューサーの電話番号を聞いた。
以下略



40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 02:39:42.88 ID:ciVG5wjy0
「夜分遅くに申し訳ないです〜、幸子ちゃんのプロデューサーさんですか〜? 同じプロ所属のイヴです〜。大事な用件があって電話させて頂きました〜」

幸子に渡したプレゼント自体には、当然パワーもなにも宿っていない、効果もなにもないはずだ。
それに効果をつける作業を、今この場で行っているのである。急ごしらえにも程があるが、他に方法など無かったのだ。

以下略



41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 02:43:18.64 ID:ciVG5wjy0
「かな子……まさかこんな時間まで起きているとはな」
「う、う〜ん、やっちゃいましたね〜」

雪の積もった三村家の屋根の上で、二人して心臓をバクバクさせながら、必死に気持ちを落ち着かせる私達。
それも当然、屋根のすぐ下、2階の窓には――
以下略



42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 02:45:38.81 ID:ciVG5wjy0
「サンタなんていないなら、いないでいいんです〜」
「どういうことだ?」

イヴは私を屋根の上に避難させて、一人ソリに乗ってかな子の部屋の前に静止した。

以下略



43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 02:47:47.15 ID:ciVG5wjy0
「こんばんは〜」
「やっぱり不審者――えっ? イヴちゃん?」

バーンと勢いよく窓を開け放って出てきたかな子を、持ち前のぽわぽわしたオーラで受け流す。
よくよく見れば、静止できるはずのブリッツェンがゆらゆらと上下に揺れて必死に非現実的に浮いてますアピールをしていたりと、芸が細かい。
以下略



44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 02:50:21.77 ID:ciVG5wjy0
「あ、でもどうかな。最近事務所の給湯室を私物化してお菓子キッチンにしちゃってるし、悪い子かも…… 冷蔵庫なんてケーキ1ホール作れるくらい材料詰め込んじゃってるし……」
「むむむ〜、それはちょっと悪い子ですね〜。悪い子はいねが〜ですよ〜」
「え、サンタってそんなこと言うの?」
「東北と北欧のサンタさんは言うんですね〜。でも、サンタさんは心が広い! プレゼントあげちゃいます〜!」
「あ、ありがとう……?」
以下略



45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 02:53:36.66 ID:ciVG5wjy0
「――いやしかし、小春の手紙には驚いたな。『うま、うまが欲しい。ヒョウくんといっしょに乗りたい』とは」
「お馬さんはソリに乗らなかったからっていうお返しのお手紙はうまいと思いますよ〜? うまだけに〜」
「馬のぬいぐるみに手紙を添えたわけだから、本当『うまだけに』だな……と、もう2時か。 時間が過ぎるのは早いな……」

かな子の家を出てからさらに数件を巡ったが、それらは概ね成功したと言ってよかった。
以下略



46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 02:57:29.05 ID:ciVG5wjy0
サンタ服の下は少々薄着だったもので、通り一本向こうに行くだけでもかなり体が冷える。
歩行者信号が青になると、私は溶けかけた雪を跳ね上げながら、いつにも増して早足で歩く。

「いらっしゃいませー…… え? 木場さん? なんで?」
「……凛? そっちこそ、なんで○ーソンの制服なんて着てるんだ?」
以下略



47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/25(火) 03:10:55.85 ID:ciVG5wjy0
「今はプロデューサーもスタッフさんも裏で話してるけど…… 木場さんが来たなんて言ったらみんなびっくりするよ?」
「私は……そうだな。仕事の関係でこの近くに来て、ちょっと小休止に飲み物を買いに来た。ということにしておいてくれ。というか、何も言わなくていい」
「そりゃややこしくなるから言わないけど……『しておいてくれ』って、本当はそうじゃないってこと?」
「本当にそうだが、細部が微妙に説明しづらい」

以下略



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