108:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/24(金) 06:30:52.59 ID:J60wAoTTo
窓の外は雨が降っている。森の中に逃げ込めば隠れることはできなくはないが、傘は玄関にしかない。
何より、廊下の窓から見つかるかもしれなかった。
どこかの空き部屋のクローゼットやベッドの下は、いざというときに逃げることができない。
109:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/24(金) 06:31:51.19 ID:J60wAoTTo
シラユキは少し不安そうな顔をした。
でも、他のどこでも同じなのだ。彼女は最後に覚悟を決めたように頷いた。
「じゃあ、書斎の中に身を隠して、内側から鍵をかけてください。
110:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/24(金) 06:33:01.99 ID:J60wAoTTo
◇
書斎に行ってみて思ったのは、クローゼットには隠れられないということだった。
あまりに「あからさま」過ぎるのだ。
111:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/24(金) 06:33:36.61 ID:J60wAoTTo
さて、とわたしは思う。困った。手詰まりだ。
ためしに机の引き出しを開けてみる。たいしたものは入っていない。
簡単な文具や羊皮紙なんかが入っているだけだった。
112:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/24(金) 06:34:10.01 ID:J60wAoTTo
やっぱり書斎はだめだったんだ。見つかってしまう。見つかったらどうなるんだろう?
わたしはシラユキの表情を思い出した。あの悲しそうな顔。
彼女はわたしに猶予を与えようとして、静かに書斎の鍵を開けようとしている。
113:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/24(金) 06:37:08.84 ID:J60wAoTTo
思わず声をあげかけて、口元を押さえる。
「早くしろ。見つかりたいのか」
114:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/24(金) 06:37:39.88 ID:J60wAoTTo
「喋るなよ」
とその人は小声で言った。
かちり、という音がして、辺りが微かに明るくなる。
115:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/24(金) 06:38:12.04 ID:J60wAoTTo
84-2
なりたくて → なりたくなくて
つづく
116:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/24(金) 08:15:55.78 ID:mHUyZdh3O
乙
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2013/05/25(土) 00:06:39.05 ID:NVR6pYLAO
乙
オリSSの枷なのか人少
118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/25(土) 06:37:36.92 ID:yZQiXNHbo
◇
灯りに照らされてみて、暖炉の下には想像以上のスペースがあったことに気付かされる。
目の前に立つ誰かは、わたしの姿を見て一度怪訝そうに眉をひそめた。
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