過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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184:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 06:56:29.00 ID:wqPpjqSYo

 シラユキは彼が頻繁に外出することを快く思ってはいないようだった。
 下界の人間に人影が見つかったら面倒だと思うのだろう。

 それがなぜかは分からないけれど、わたしも、ツキの外出をあまり好ましくは思わなかった。
以下略



185:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 06:57:18.32 ID:wqPpjqSYo

 ツキはやがて思い直したように頭を振ると、頭痛でもするように額を抑えた。

「いや、平気なんだよな。平気じゃないと、困る」

以下略



186:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 06:58:16.93 ID:wqPpjqSYo



 ある日、わたしが部屋で本を読んでいると、不意にノックの音が聞こえた。

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187:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 06:59:11.14 ID:wqPpjqSYo

 わたしがベッドに寝転がっていたのをいいことに、彼はわたしの椅子に勝手に座る。
 注意しようかと思ったけれど、やめた。
 このところのツキはあまりに追いつめられているようで、思わず咎めるのを遠慮してしまうほどだった。
 
以下略



188:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 07:00:09.11 ID:wqPpjqSYo

「ねえ、あなたは何を欲しがってるの?」

 わたしは思わず訊ねた。何がこの人をこんなに苦しめているんだろう。
 何のために、この人はこんなにつらそうなんだろう。
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189:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 07:00:35.30 ID:wqPpjqSYo

 しばらく、部屋の中には何の変化もなかった。雨の音だけがずっと続いている。
 気付けばわたしは、本を読むのをやめてツキの方をじっと見つめていた。
 
 やがて彼は、やはり身じろぎひとつせず、顔もこちらに向けないまま、
以下略



190:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 07:01:02.03 ID:wqPpjqSYo

 不意に彼は、何かに気付いたように顔をあげた。
 それからわたしの顔をじっと見た。何かに驚いているような目だ。

「なに?」
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191:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 07:02:03.62 ID:wqPpjqSYo

「……急に何?」

「前は、レコードだった」

以下略



192:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 07:03:08.41 ID:wqPpjqSYo



 ツキはそのようにして、この屋敷での暮らしを続けた。
 いなくなる気配もなければ、例の何かを「取り戻す」こともできてはいないようだった。
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193:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 07:04:00.31 ID:wqPpjqSYo

「出口」

 ツキは不意にそう言った。

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194:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 07:05:11.48 ID:wqPpjqSYo



 ツキがこの屋敷で暮らすようになってからも、わたしは毎夜同じ夢を見た。

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