301:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/05(水) 05:43:05.47 ID:YX4Y62yro
「――シラユキという猫も、あなたにとっては石ころでしたか?」
「……どうだったかな」
302:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/05(水) 05:44:02.57 ID:YX4Y62yro
「あなたがここに残ることを決めるというのなら、わたしはそれに従うしかありません」
怒ったような声だった。少し、震えているようにも聞こえる。
わたしの胸は少し痛んだ。どうして痛むんだろう。わたしはほとんど死んでいるのに。
303:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/05(水) 05:45:16.79 ID:YX4Y62yro
シラユキは一度深呼吸をした。わたしは何か嫌な予感がした
でも、なぜ嫌な感じがするのか、分からなかった。
何が起ころうとわたしは揺るがない。そのはずだ。だったら、関係ないじゃないか。
304:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/05(水) 05:45:48.63 ID:YX4Y62yro
つづく
305:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/05(水) 13:29:23.55 ID:K3xLW0J0O
oh…
306:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/05(水) 22:19:23.64 ID:b25wbvZAO
乙
海辺のカフカの森とか灰羽のグリの街とか憧れる
しかし流9州は嫌だ
307:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:31:09.11 ID:4Z+Lx22no
◇
わたしとシラユキは言葉もかわさずに屋敷に戻った。
ツキは森の奥に逃げ込んだという。まだ、つかまってはいないらしい。
308:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:31:50.98 ID:4Z+Lx22no
世界は世界として独立している。シラユキはそう言った。
死後の世界というわけでもなく、現実でもない。
一種の異世界のような場所。わたしの精神を土台に作られた場所。
309:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:32:18.41 ID:4Z+Lx22no
別にかまわないじゃないか。そう思った。ツキが死のうと生きようと関係ない。
そう思ったから、わたしはここにいるんじゃないのか?
ツキが悲しんでも、苦しんでも、関係ない。そう思ったから、わたしは今ここにいるのだ。
310:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:32:44.84 ID:4Z+Lx22no
わたしは無性に叫びだしたいような気持ちになった。
どうしようもなく、気分が収まらなかった。そう考える自分を抑え込もうとした。
ベッドを降りて、窓の外を睨んだ。そして思う。
311:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:33:27.16 ID:4Z+Lx22no
そう思うことに、どことなく抵抗もあった。理屈が合わなくなってしまう不安。
でも、それどころじゃない。彼はこんなところにいてはいけないのだ。
ツキの両親は、彼が死んだらきっと悲しむ。
633Res/436.26 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。