312:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:34:16.58 ID:4Z+Lx22no
「シラユキ」
呼びかけると、彼女は意外そうに顔をあげた。
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2013/06/06(木) 06:35:20.63 ID:4Z+Lx22no
「分かったって、どうしたんです?」
「ツキを現実に送り返す。彼に死なれるのは困るから」
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2013/06/06(木) 06:35:55.25 ID:4Z+Lx22no
◇
わたしは部屋に戻り、動きやすい服に着替えた。
それから何か武器になるようなものを探した。
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2013/06/06(木) 06:36:39.14 ID:4Z+Lx22no
彼らはツキを見つければ、すぐに捕縛し、殺害しようとする。
里にやってきた熊を撃ち殺すみたいに。
そして、仮にわたしがこの世界から逃げようとすれば、わたしを捕らえようとする。
316:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:37:34.43 ID:4Z+Lx22no
なんとか気持ちを落ち着かせなくては、とわたしは思った。
それから軽く食事をとった。
シラユキはなんとも言えないような表情でわたしを見た。
317:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:38:01.30 ID:4Z+Lx22no
ドアを叩く音。シラユキが扉を開けた。
客人が何かを言うよりも先に、彼女が声を掛けた。
318:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:39:52.42 ID:4Z+Lx22no
シラユキは頷く。特殊ではあるが、,彼女もこの世界の住人だ。
この世界のしがらみには、従わざるを得ないのだろう。
「それでは、少しのあいだ騒がしくなると思いますが、よろしくお願いします。
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2013/06/06(木) 06:40:24.52 ID:4Z+Lx22no
「森の中で人ひとりを探すというのは、大勢の人間がいるにしても、簡単なことではありません。
とはいえ、外は雨が降っていますから、ツキの体力の方も心配しなくてはいけません」
「……うん。でも、これじゃ、外に出られない」
320:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:41:10.67 ID:4Z+Lx22no
「普通に玄関から入ったら、シラユキは気付いていたはずだよね?」
「……それは、まあ」
321:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:42:29.65 ID:4Z+Lx22no
「地下通路を通って、森に出られそうなら、そのままツキを探すのがいいと思います。
もし危険そうなら、戻ってきてください。別の方法を考えましょう」
安全な方法なんてあるものか、とわたしは思った。多少のことは仕方ない。
322:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:43:13.45 ID:4Z+Lx22no
「お気をつけて」とシラユキは言った。
わたしは頷きだけを返して階段を降りた。
懐中電灯をつける。黴の匂い。こもった冷気。この先に出口があればいいのだが。
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