589:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 03:56:50.32 ID:k0zfLIWso
こんなことばかり考えているから、お母さんはわたしのことが嫌いだったのかもしれないな。
四六時中こんなことばかり考えているような子供を誰が好きになるだろう。
わたしだってできればみんなに好かれたいと思ったけれど、あんまり上手くはいかなかった。
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2013/06/24(月) 03:58:05.78 ID:k0zfLIWso
そう、全部が今更だ。
もう、ぜんぶぜんぶ終わってしまったことなのだ。
わたしはとっくに決断を済ませていた。
591:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 03:58:48.39 ID:k0zfLIWso
でも、それだってそんなに悪いことばかりではない。
少なくとも、一度終わらせてしまえば、それ以上はない。わたしはわたしであることを終わりにできる。
そうすれば、もうこんなふうに考え込む必要もない。
592:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 03:59:19.02 ID:k0zfLIWso
「シラユキ」
とわたしは彼女の名前を呼んでみた。
答えはないかもしれない。でも、とにかく呼びかけてみた。
593:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 03:59:59.59 ID:k0zfLIWso
雨の音と風の声が絶えず響いている。
わたしは少しの間、何も考えずにその音に耳をすませていた。本当に何も考えなかった。
594:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 04:00:42.02 ID:k0zfLIWso
ふと、泣き声が聞こえた気がした。
それは向こう側から聞こえていた。誰の声だろう。知っている人の声だ。
わたしはその人がそんなふうに泣くのを初めて聞いた。とても激しい泣き方だった。
595:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 04:01:21.30 ID:k0zfLIWso
もういいじゃないか、とわたしは思う。
ぜんぶ終わりにしよう。やめてしまおう。もう怖い思いをするのは嫌だ。
わたしは体を動かした。シラユキに何かを言おうと思ったけれど、口がうまく動かなかった。
596:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 04:01:48.89 ID:k0zfLIWso
もう一度、向こう側へ繋がる穴を、わたしは振り返った。
何も映っていない。ただ、音だけが聞こえる。景色は滲んでいる。
わたしは急に泣きたい気持ちになった。心細いような、寂しいような、そんな気持ちに。
597:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 04:02:25.19 ID:k0zfLIWso
そっか、駄目なのか、とわたしは思った。
そうだろうな、駄目なんだろう、きっと。駄目なら仕方ない。
ツキがこんな声で、必死になってわたしに語りかけているのだ。
598:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 04:03:10.48 ID:k0zfLIWso
「わたし、帰るね」
とわたしは言った。シラユキは、また、困ったように笑った。
それから小さく頷く。彼女の仕草はいつだって変わらない。
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