過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/26(日) 02:36:46.14 ID:UMPAG6Zoo
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決戦から四年が経つ春の日、魔法使いは、王国の修道院を訪れた。
真っ白な建物で、よく晴れた日の雲のように大きくて、足を踏み入れず、ただ眺めるだけでも
心が引き締まり、指を組みたくなるような――――そんな、修道院だ。
以下略
91
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/26(日) 02:37:27.16 ID:UMPAG6Zoo
静謐な礼拝堂の空気の中、数年ぶりに再会した二人は、変わらずに談笑する。
それでも歩む道は絶対的に違い、共通の目的などもうない。
『旧友』ではあっても、もう……『仲間』ではない。
僧侶「……それで、魔法使いさん。本日はどういったご用件でしょうか」
以下略
92
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/26(日) 02:38:32.26 ID:UMPAG6Zoo
頭の上に、もうあのとんがり帽子は乗っていない。
するっと伸びる栗毛が、何阻まれることなく肩辺りまで流れている。
たった一つ特徴をなくしただけではなく、表情も、身のこなしも、負けん気の強かったあの頃とは違い、
落ち着きさえも兼ね備えた、爽やかな色気まで醸し出していた。
以下略
93
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/26(日) 02:39:17.59 ID:UMPAG6Zoo
僧侶「いえ、まさか。……私は、これでいいんです」
魔法使い「よね」
僧侶「はい。私は……満足しているんです。迷える人々の懺悔を聴き、導き、その前途を祝福し、祈る。
以下略
94
:
◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/26(日) 02:40:27.89 ID:UMPAG6Zoo
僧侶「今は、王女殿下の親衛隊に抜擢されたとか……」
魔法使い「あはははっ! あんなガタイで、あんなコワモテで? やっぱ似合わない」
戦士は、二度と『戦場』に戻る事はなかった。
以下略
95
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/26(日) 02:41:10.59 ID:UMPAG6Zoo
それから程なくして。
魔法使いは一人、決戦の地を訪れた。
まずは最寄りの村へ呪文で飛び、そこから少しだけ旅をした。
あの決戦へ望む道のりを、一人で辿るようにして。
休憩も、同じ場所で取った。
以下略
96
:
◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/26(日) 02:42:02.90 ID:UMPAG6Zoo
魔法使い「……そろそろ、あの場所ね」
身一つで辿った旅路は、最後の休息所へ近づいていた。
刻は、昼下がり。光の届かぬこの林を抜ければ、開けた丘に着くだろう。
風は暖かいが、少し湿っている。
以下略
97
:
◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/26(日) 02:43:45.47 ID:UMPAG6Zoo
そこは、一面の花畑に変わっていた。
奇跡としか思えない程に、見渡す限りの白い花に埋め尽くされていた。
思わず、降りられる道を探して駆け下りる。
あの沼地が、果たしてこんな事になり得るのだろうか。
以下略
98
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/26(日) 02:44:48.42 ID:UMPAG6Zoo
雨は、全てを洗い流す。
積み上げられた憎しみの塔を。
怒りに任せて描いた、地獄の絵を。
そして全てを洗い清めれば、空には、混ざらなくとも寄り添い合う、七色の架け橋がかけられる。
以下略
99
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/26(日) 02:45:35.26 ID:UMPAG6Zoo
本編、勇者一行の後日談はこれで終了です
ありがとうございました
100
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]
2013/05/26(日) 02:46:44.59 ID:MzPavpAuo
え?魔法使い再会無いのん…?
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