2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/29(水) 13:13:38.06 ID:xk7H4ona0
「どうやって笑うんだっけ?」
鏡の前で自分の頬をつまみながら独り言を呟く。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/29(水) 13:16:33.20 ID:xk7H4ona0
誰かに言われれば出来るのに。
そう考えて時点でハッとして鏡を見直す。
そこには無表情の人形のような顔があった。
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/29(水) 13:20:40.46 ID:xk7H4ona0
それからしばらくして、私は、芸能人としてそれなりのキャリアを積み国民的とは言われないまでも、知ってる人は知っているレベルになっていました。
両親が思う通りに成長し、型に嵌められたような私が一人歩きして得た名声だった。
勿論、悪いことばかりではないのは事実だ。
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/29(水) 13:23:03.03 ID:xk7H4ona0
そのことは分かっていた。
だけど怖かったのだ。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/29(水) 13:27:21.04 ID:xk7H4ona0
久々の休みに気分転換で街に繰り出していた。
趣味のドールハウスに必要な材料を買いに来ていたのだ。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/29(水) 13:29:11.39 ID:xk7H4ona0
「いや、ですね。私こういうものなんですけど…」
若い男はそう言って名刺を差し出す。
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/29(水) 13:35:23.06 ID:xk7H4ona0
「私自身がステージに立って何かすることは出来ません。だけど、アイドルと一緒に歩いていくことは出来ます。それでは失礼しました」
そうとだけ言い残して彼は消えた。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/29(水) 13:45:58.95 ID:xk7H4ona0
早速約束を取り付ける。
場所は何があってもいいように行きつけの喫茶店に指定した。
ここなら何が起きても店員さんが味方になってくれるので心強かった。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/29(水) 13:54:00.02 ID:xk7H4ona0
「すみません…」
彼は申し訳なさそうに頭を下げる。
正直知られていないことに少しだけ落胆したが、それ以上に別の疑問が頭を過った。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/29(水) 13:57:13.31 ID:xk7H4ona0
だって誰も見ていないときにさえ笑えないのだ。
それとも、声を掛けられた時の作り笑顔が素敵とでも言いたいのだろうか。
どちらにしろ皮肉を言っているように聞こえた。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/29(水) 14:02:30.59 ID:xk7H4ona0
「その顔を見てこれだっ!って思ったんだよ。その笑顔を他の人に分けてやって欲しいんだ」
「いや、でも、私そんな感じじゃないですし…」
「勿論、一人でそんなことをやれなんて言いません。一緒に頑張っていきませんか?」
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