過去ログ - 上条恭介「キミの笑顔が好きだった」
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1: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:27:14.63 ID:SJta8h95o
キミの笑顔が好きだった。

物心ついた頃から、僕の近くにあったキミの笑顔。

それを見る為に、僕はずっと頑張ってたんだ。

どうしたら笑ってくれるのかなって。

そればかりを考えていたことさえあった。

ある日、何のけなしにヴァイオリンの演奏をしたことがあった。

何か意図があったわけじゃない。ただ、彼女を笑わせる為の手段のひとつに過ぎなかった。

でも、そんな何のけなしの演奏が、キミの笑顔をより一層輝かせた。

そうか、これか。

これが、キミの笑顔を輝かせるのか。

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2: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:28:49.18 ID:SJta8h95o
そう知ってからは、一心不乱だった。

とにかく、暇さえあれば演奏するようになった。

そうすれば、僕の好きなキミの笑顔を見る事が出来たから。
以下略



3: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:29:29.55 ID:SJta8h95o
そんなある日、『それ』は起こった。

僕が好きな笑顔を奪っていく、忌まわしき事故。

僕から、僕の好きな笑顔を見る為の手段を奪っていった事故だ。
以下略



4: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:30:34.98 ID:SJta8h95o
リハビリの毎日。

自分一人の力で歩くことさえおぼつかなくなって、まずはもう一度自分ひとりの力で歩けるようになる為に。

それが終われば、次は落ちてしまった握力を取り戻す為のリハビリだ。
以下略



5: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:31:08.33 ID:SJta8h95o
でも、キミがお見舞いに来てくれるのは、僕にとってもとてもありがたいものだった。

何しろ、入院生活は暇だった。

リハビリ以外は、ベッドの上で暇を持て余す生活だ。気が滅入らないわけがない。
以下略



6: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:31:57.53 ID:SJta8h95o
僕が入院してから、どれくらい経ってからだろうか。

ある日、お医者様に告げられた。

『もう、ヴァイオリンを弾くことは出来ないだろう』
以下略



7: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:32:39.48 ID:SJta8h95o
そんな宣告をされた日にも、彼女はいつも通りお見舞いに来てくれた。

いつも通り、CDを持って。

特に好きでもないCDを、宣告された日に持って来られて、つい心にもない事を言ってしまった。
以下略



8: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:34:23.05 ID:SJta8h95o
その日の夜だった。

ふと目が覚めた僕は、左手に妙な違和感を覚えた。

妙な、と言うと語弊があるかもしれない。
以下略



9: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:34:58.87 ID:SJta8h95o
僕は、それに疑問を覚えることはなかった。

僕の心を締める思考はひとつ。

『これで、また、彼女を笑わせる為の演奏をすることが出来る』
以下略



10: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:35:51.74 ID:SJta8h95o
翌日。

彼女は、その日もお見舞いに来てくれた。

しかし、様子がいつもと違う。
以下略



11: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:36:42.14 ID:SJta8h95o
屋上には、僕の両親に、担当医師、数名の看護師さんがいた。

腕が治ったからと言って、僕に『それ』を渡してくれた。

これだ。僕が、ずっと欲してやまなかったもの。
以下略



12: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:37:36.46 ID:SJta8h95o
演奏の日から数日後、更にうれしい知らせが届いた。

どうやら、退院出来る日が早まったらしい。

と言うのも、今までは左腕が動かなく、松葉杖が使えないということもあって完全に自力で歩けるようになるまでは退院出来ないと言われていた。
以下略



13: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:38:45.20 ID:SJta8h95o
それから二日後、僕は退院した。

彼女は、演奏の日からは僕のお見舞いに来なくなっていた。

演奏の腕を問いただされなくてよかったと思う反面、少しだけ複雑な心境でもあった。
以下略



14: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:39:41.74 ID:SJta8h95o
でも、実際は違った。

彼女は、何故か僕の事を避けている節があるような気がした。

まさか、彼女は病院の屋上でおこなった演奏に不満があったのだろうか?
以下略



15: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:40:21.29 ID:SJta8h95o
僕の方から声を掛ける事はせず、また彼女の方からも声を掛けて来る事はなかった。

なんだか、壁が出来てしまったような錯覚にさえ陥る。

いや、大丈夫だ。僕の演奏の腕さえ前のようになれば。
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16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/10(水) 01:40:46.11 ID:55OITuei0
恭介……(;;)

恭介って悪く言われがちだけど
彼は実際には何一つ悪くないよな。
さやかのオカゲで腕が治った事も魔法少女の事も
以下略



17: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:41:11.81 ID:SJta8h95o
僕が学校に復帰して、何日目だっただろうか。

クラスメイトの女子に、告白された。

僕の幼馴染とも仲のいい女の子だ。
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18: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:44:10.12 ID:SJta8h95o
その後、他愛もない話をその子とした。

僕は、僕がヴァイオリンの演奏を頑張る理由を話した。

その子は、いつから僕の事を慕っていたのか、と言う事を話してくれた。
以下略



19: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:45:09.23 ID:SJta8h95o




      それから、更に数日後。
以下略



20: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:46:05.44 ID:SJta8h95o
詳しい死因ははっきりしないそうだ。

ホテルの一室で、すでに亡くなった状態で発見されたそうだ。

何かの事件に巻き込まれ、衰弱死―――という結果で終わりそうだという話を聞いた。
以下略



21: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:47:10.32 ID:SJta8h95o
思考の整理が追い付かないまま、彼女の葬式の日がやってきた。

彼女の遺影は、不謹慎と言われるかもしれないが、僕の好きな笑顔だった。

その笑顔を見て、僕は、泣き崩れた。
以下略



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