過去ログ - 上条恭介「キミの笑顔が好きだった」
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2: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:28:49.18 ID:SJta8h95o
そう知ってからは、一心不乱だった。

とにかく、暇さえあれば演奏するようになった。

そうすれば、僕の好きなキミの笑顔を見る事が出来たから。
以下略



3: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:29:29.55 ID:SJta8h95o
そんなある日、『それ』は起こった。

僕が好きな笑顔を奪っていく、忌まわしき事故。

僕から、僕の好きな笑顔を見る為の手段を奪っていった事故だ。
以下略



4: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:30:34.98 ID:SJta8h95o
リハビリの毎日。

自分一人の力で歩くことさえおぼつかなくなって、まずはもう一度自分ひとりの力で歩けるようになる為に。

それが終われば、次は落ちてしまった握力を取り戻す為のリハビリだ。
以下略



5: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:31:08.33 ID:SJta8h95o
でも、キミがお見舞いに来てくれるのは、僕にとってもとてもありがたいものだった。

何しろ、入院生活は暇だった。

リハビリ以外は、ベッドの上で暇を持て余す生活だ。気が滅入らないわけがない。
以下略



6: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:31:57.53 ID:SJta8h95o
僕が入院してから、どれくらい経ってからだろうか。

ある日、お医者様に告げられた。

『もう、ヴァイオリンを弾くことは出来ないだろう』
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7: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:32:39.48 ID:SJta8h95o
そんな宣告をされた日にも、彼女はいつも通りお見舞いに来てくれた。

いつも通り、CDを持って。

特に好きでもないCDを、宣告された日に持って来られて、つい心にもない事を言ってしまった。
以下略



8: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:34:23.05 ID:SJta8h95o
その日の夜だった。

ふと目が覚めた僕は、左手に妙な違和感を覚えた。

妙な、と言うと語弊があるかもしれない。
以下略



9: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:34:58.87 ID:SJta8h95o
僕は、それに疑問を覚えることはなかった。

僕の心を締める思考はひとつ。

『これで、また、彼女を笑わせる為の演奏をすることが出来る』
以下略



10: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:35:51.74 ID:SJta8h95o
翌日。

彼女は、その日もお見舞いに来てくれた。

しかし、様子がいつもと違う。
以下略



11: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:36:42.14 ID:SJta8h95o
屋上には、僕の両親に、担当医師、数名の看護師さんがいた。

腕が治ったからと言って、僕に『それ』を渡してくれた。

これだ。僕が、ずっと欲してやまなかったもの。
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12: ◆/ZP6hGuc9o[saga]
2013/07/10(水) 01:37:36.46 ID:SJta8h95o
演奏の日から数日後、更にうれしい知らせが届いた。

どうやら、退院出来る日が早まったらしい。

と言うのも、今までは左腕が動かなく、松葉杖が使えないということもあって完全に自力で歩けるようになるまでは退院出来ないと言われていた。
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