25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/23(金) 16:25:43.04 ID:d85526kY0
 期待。 
26: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/24(土) 09:30:57.79 ID:Eikl4zs70
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  大きく伸びをして、激痛に思わず屈んでしまいました。声も出ない、とはまさにこのこと。全身が痛くてどこが痛いのかわからないくらいです。 
  
  唐突に、闇夜にあって一際大きく着信音が鳴り響きました。私のものではありません。ということは、この体操服のものでしょうか。 
27: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/24(土) 09:32:18.93 ID:Eikl4zs70
  
  まだ着信は鳴っています。まるで私が出るのを待っているかのように。 
  
 少女「『天網恢恢疎にして漏らさず』」 
  
28: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/24(土) 09:33:49.64 ID:Eikl4zs70
  
 少女「それで、『天網恢恢疎にして漏らさず』さん、どうして電話を」 
  
 ??「ん? 私の生き様を知ってるの?」 
  
29: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/24(土) 09:34:23.35 ID:Eikl4zs70
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  眼が覚めたら激痛は消えていました。崩壊した我が家も元通り。あのぬいぐるみは約束を違えることはなかったようです。有言実行、さすがですね。 
  まさか全てが夢だったのではと逡巡します。手を繰り返し、ぐーぱー、ぐーぱー。 
  
30: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/24(土) 09:34:54.99 ID:Eikl4zs70
  
  とはいえ昨晩の出来事が夢でないのなら、私は絶賛戦時中みたいなものでしょう。片足どころか両足を突っ込んだレベルで。後悔はしていませんし、死ぬことも……怖くないと言ったら嘘になりますけど。 
  ただ、リターンを得るためには相応のリスクを得なければならないことも事実。この世から嘘を消し去るという目的のためには、命を懸けるだけの価値があります。 
  
  静謐な空気を味わいながら、私は教室の扉を開きます。HRの十分前。これが私のいつもの登校時刻なのです。 
31: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/24(土) 09:35:39.28 ID:Eikl4zs70
   
 黒マント「ここは常しえの魔境! 我が異能を以て塵と化すがいいわ!」 
  
  黒マントの目が妖しく光りました。黒い光を放って、同時に椅子や机が同様の光を帯び、がたがたがたっと持ち上がります。触れることなく。 
  
32: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/24(土) 09:38:20.74 ID:Eikl4zs70
  
  そこで私は昨日の電話の主を思い出します。『天網恢恢疎にして漏らさず』。考えられるのは今のところあいつしかいませんが、果たして。 
  
  それにしてもこの静けさです。人っ子一人の気配すらありません。いや、もともと気配なんて読めませんけど、なんにしても、夢じゃなかった。 
  
33: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/24(土) 09:39:47.12 ID:Eikl4zs70
  
 「闇に呑まれよ」 
  
  闇と言うのは名ばかりで、私に向けて振ってくる大量の机、机、机。 
  私の影が机の影にすっぽりと飲み込まれて、瞬間、ひときわ強く地面を踏みしめました。このままでは圧死確実。 
34: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/08/24(土) 09:41:49.74 ID:Eikl4zs70
  
  ざく、と砂を踏みしめる音が聞こえました。眼球だけを動かしてそちらを見れば、女生徒が一人、短く悲鳴を上げて後ずさっています。 
  
  見たな、と黒マントは小さく呟きました。 
  
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