83: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:14:16.29 ID:vaqxWu9A0
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あたしは二つの死体の片方、ライフルのモデルガンを抱えた、包丁で滅多刺しにされている女の子に歩み寄った。
財布から福沢諭吉を五枚取り出して女の子の傍らに放り投げる。
ひらひら揺れて、血の池に落ちた。
84: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:14:56.58 ID:vaqxWu9A0
腕章「残り7人」
あたしは呟いた。開始二日でもう三人が死ぬなんて、予想以上にペースが速い。まぁけしかけたのはあたしなんだけど、やっぱりちょっとは罪悪感もあるかな。
この能力さえあれば情報戦はいくらでも制することができる。そして情報さえあれば、いくらでも金は手に入るし、武器だってほらこの通り。本物の猟銃だよ?
85: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:16:34.97 ID:vaqxWu9A0
あいつらを観察しているとどうしたってあたしの頭も痛くなる。ハチャメチャは嫌いじゃないけど、あいつらはハチャメチャすぎる。やりたい放題は無節操で嫌いだ。情報が錯そうして整理の余地もない。
そう、情報。私にとってはそれが全てで、世界にとってもそれが全て。
情報を制する者は世界を制する。つまり、あたしが世界を制するというこの完璧な論法。
86: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:17:19.90 ID:vaqxWu9A0
そうして学校まで走って、辿り着いた時には昼食時間に差し掛かっていた。仕方がない。数学のノートを誰かに見せてもらおう。
肩をぐるりと回した。ふぅ、これで少しはリラックスできる。
能力者の気配も1つだけになったことだし。
87: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:18:19.68 ID:vaqxWu9A0
少しだけ肌にピリピリしたものを感じながら、こっそりと校内へと入っていく。保健室の扉を開け、「すいません、頭痛いんですけど」。
熱を測らされる。当然あるわけないけど指示には従わないと。ソファに腰かけながら、僅かに思索を巡らせた。
88: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:18:45.78 ID:vaqxWu9A0
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六時間目の終了を投げるチャイムが響いた。歴史の教師は板書を辞め、教科書を一瞥してから「次回はこの続きからやるぞ」とだけ言って、鷹揚に教室を後にする。
友人「体調大丈夫?」
89: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:19:38.95 ID:vaqxWu9A0
チョップが一発。ぐえ、と大袈裟に声を出してやった。
周囲の男子生徒が聞き耳を立てている。うーん、やっぱり気になるものなのかな? 男の子としては、おっぱいとかは。
話を切り替えるために咳払いを一つ。
90: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:20:58.57 ID:vaqxWu9A0
プライバシーなど存在しない。
隔てるものなど介在しない。
91: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:21:50.70 ID:vaqxWu9A0
そうこうしてから約十分後に全員が席へと着いた。ずらりと十五人。全員がそれなりにきちっとした表情をしている。
それもそのはず。生徒会と各部の部長が集まるこの部長会、今回の議題は各部活の活動予算についての異議申し立てだからだ。
先週活動予算が生徒会会計の手から配られ、実績、活動内容、部員数に応じて増減した数値が行き渡っている。我が新聞部は横ばいだったけれど、野球部はそれなりの額が減らされていて、反対に吹奏楽部は増えている。
92: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:22:46.64 ID:vaqxWu9A0
会計「実績がありませんから。以上です」
一刀両断だった。快刀乱麻だった。まさにすっぱりと、一秒の思考の時間すらなく、会計は主将を睨みつける……いや、単に一瞥しただけかも。
主将は一瞬だけ激昂の様子を見せたが、流石に自制した。大きく深呼吸をして、尋ねる。
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