1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/29(木) 20:44:54.44 ID:Pb8MMJNZ0
梅雨が開けたというのに、まだ雨粒がしつこく地面を叩く八月の頭
僕は公園で一人、てんとう虫型の遊具の中に入ってしつこい雨を凌いでいた
「……とうさんのアホ」
膝を抱えて涙を流している僕
菊地真、もう直ぐ八才になる
……僕は昔から父さんに、まるで男の子のような生活を強いられていた
だけど……周りの男子から『男女』 と呼ばれるようになり、今の生き方に疑問を感じている
その疑問が膨らみ……父さんを涙を流しながら怒鳴りつけ、家を飛び出し……今ここに居る
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/29(木) 20:46:10.82 ID:Pb8MMJNZ0
真「アホ……バカ……」
子供らしい単純な罵倒の言葉しか僕の口からは出てこなかった
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2013/08/29(木) 20:48:16.94 ID:Pb8MMJNZ0
真「……なに?」
「なにと言われても……俺もここで雨宿りさせてもらってもいいかい、お嬢さん?」
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2013/08/29(木) 20:49:17.71 ID:Pb8MMJNZ0
「……」
真「……」
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2013/08/29(木) 20:50:39.05 ID:Pb8MMJNZ0
更に僕の不意を突く男性の言葉
その言葉が耳に入った瞬間に、僕の頭に色々な思いが駆け巡った
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2013/08/29(木) 20:52:24.89 ID:Pb8MMJNZ0
真「うぅ……うぁ……」
「ちょ、なんでなんで!? 俺なんかしちゃった!!?」
真「ち、ちがう……ボク……うわぁあああああああああああん!!!!」
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2013/08/29(木) 20:53:34.83 ID:Pb8MMJNZ0
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/29(木) 20:55:10.27 ID:Pb8MMJNZ0
「……君は明日もここに居るかな?」
真「……え?」
「もし明日も来るなら……俺と一緒に遊ぼうよ」
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2013/08/29(木) 20:56:25.19 ID:Pb8MMJNZ0
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次の日は快晴
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/29(木) 20:57:30.25 ID:Pb8MMJNZ0
真「……」
「あれ、どうしたの? 俺の顔に何かついてる?」
真「う、ううん! なにもついてないよ!」
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/29(木) 20:58:44.29 ID:Pb8MMJNZ0
「……そういや、お父さんに謝った?」
真「……うん」
「そっかそっか、偉いな!」
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/29(木) 21:00:23.41 ID:Pb8MMJNZ0
「いいねいいね! ひゃっほい! いたぁ!!!!」
真「え? えぇ!?」
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2013/08/29(木) 21:02:08.68 ID:Pb8MMJNZ0
「おぉ、今日の晩御飯はカレーか!」
真「あなたのためにおいしくつくったのよ! たべてたべて!」
「いただきます! もぐもぐ……美味しい!」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/29(木) 21:03:03.04 ID:Pb8MMJNZ0
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「これで俺達は一歩近付けたな!」
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/29(木) 21:04:21.18 ID:Pb8MMJNZ0
次の日僕は、何時も男性を待っているてんとう虫型の遊具の中ではなく、ブランコに乗りながら宙を舞っていた
目の前に広がる景色が線になったり、止まって見えたりを繰り返す風景は、僕を飽きさせないように工夫を凝らしてくれているようだった
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/29(木) 21:06:40.56 ID:Pb8MMJNZ0
「ムシすんじゃねーよおとこおんな! バーカバーカ!」
子供らしいボキャブラリーが少ない悪態をついている男の子
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/29(木) 21:09:38.94 ID:Pb8MMJNZ0
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「―――……お、もうこんな時間か。 楽しいと時間が過ぎるのが早いな」
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/29(木) 21:11:47.84 ID:Pb8MMJNZ0
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「真ー! ご飯だぞー!」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/29(木) 21:13:00.23 ID:Pb8MMJNZ0
嫌でも時間は流れ、朝はやってくる
丸まった布団の中から這い出て、壁に掛かった時計を確認すると、針の位置は丁度お昼を指していた
何時もなら公園へ向かっている時間だが、僕の体は習慣を無視するかのように動いてはくれなかった
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/29(木) 21:14:32.84 ID:Pb8MMJNZ0
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……気が付いたら僕は玄関で靴を履いていた
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/29(木) 21:17:28.40 ID:Pb8MMJNZ0
太陽が頭上の斜め上で燦々と自己主張を続けている
何時もなら走って公園へと向かっているはずなのだが、僕の脚はゆっくりと歩みを進めていた
公園へ行っても、男性に会って僕はどうするの?
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