過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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347: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/01/11(土) 17:01:07.58 ID:hPqAd4BYo



「って言うか、よくこの部屋が分かったな。」

以下略



348: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/01/11(土) 17:08:48.75 ID:hPqAd4BYo

部屋は海原と土御門が魔術に使用する道具や、或いは所持している魔導書(扱いの容易な偽典や写本ばかりであるが)を保管するために使用されていて、今もそれらが置きっ放しになっている。暗部時代にはこういう部屋を幾つか作ってそういったものを分散させて保管していたのだが、暗部を離れた今でも使い勝手が良いということでそのままにしているのだ。
土御門の場合こういったものを持っていても使用するにはリスクがあるし、海原は普段使用する霊装や大切な原典については常に身に付けている状態で、要するにこの部屋にあるのは緊急で使用することはないものばかりだ。今となっては仲間どころか同僚ですらない互いの荷物が相変わらず同居していることにもやもやとした違和感を覚えないのでもないけれど、こういったものは運び出すにも壊れ物などとはまた違った注意が必要で手間がかかる。お互いの専門分野が違いすぎて相手の持ち物を使うことも、そもそも理解することすらも困難だから、何とも不安定な状態ではあるが悪用されることはないだろう、とお互い希望にも似た予想の下、こういった奇妙な部屋は今も存在している。

「単に人払いを破っただけには見えなかったが、あれは何のつもりだ?」
以下略



349: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/01/11(土) 17:10:52.95 ID:hPqAd4BYo

「ガキにもバカにも滝壺にも見付からないようにしたかったんだが、アレで合ってるかどォかオマエ分かるか?」

ガキとは打ち止め、バカは第七位だろうか。滝壺理后も含めて、彼らは能力を用いて大まかな一方通行の居場所を探ることができると聞いている。それを防ぎたかったということはつまり、彼女は単に「人目につかない部屋」であったこの部屋を「学園都市の能力を以ってしても感知することのできない空間」に変えたかったということである。それで海原の作った魔法陣に上書きを施したというわけだ。
元々この部屋に施されていた人払いの術式は、単に部屋を人目につかないようにするだけでなく、中にあるものの魔術的な気配を外に気取らせないような機能も付いていた。応用すればAIM拡散力場を遮断するようなこともできるだろう。具体的にどのような工夫をすればそのような芸当が達成できるのか、男には全く想像ができなかったが。
以下略



350: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/01/11(土) 17:12:42.58 ID:hPqAd4BYo

この部屋に施されていた人払いは確かにかなり簡単なもので、魔術師であれば容易にタネに気付くことができるだろう。そもそもこの部屋に立ち入る可能性のある一方通行と結標の目だけごまかせればよかったのだから、壁に飾ってある幾つかのつまらない風景写真をある順番で並び替えるだけで解除できるように設定してあった。
だけれど彼女は超能力者であって魔術師ではない。並び替えの順番を間違えたら怪我では済まない事態になっただろうし、単に破るのではなく自分なりにアレンジしてまた別の意味を持つ魔術として成立させるのはどれだけ困難なことだろうか。彼女が手を加えたそれの使用者はあくまで原型を作った海原のままのようであるから、彼女は魔術を使用したことにはならず、「超能力者は魔術を使用できない」というルールを越えることもしていない。

「お前ホント嫌な奴だなぁ。」
以下略



351: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/01/11(土) 17:14:03.28 ID:hPqAd4BYo

「お前、それ読めるのか?」

感情のままに嫌味を言ったところで彼女には通じまい。そう思った男が次の話題として定めたのは、彼女が手にしている本―海原が所有している魔導書の偽典だった。

以下略



352: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/01/11(土) 17:15:27.15 ID:hPqAd4BYo

上条から「インデックスと一方通行がお互いの持てる知識を交換し合っていることがある」と聞かされていた男は、てっきり彼女が魔導書がどういったものなのかという知識も授けられているものだと思っていたのだが、どうやらそうではなかったらしい。彼女がインデックスの話したことを忘れていたとも思えないから、聞いていないのは確かなのだろう。
或いは好奇心が強くて一旦のめり込むと自身の危険を顧みないようなところのある一方通行を気遣って、インデックスは敢えてそういった情報を与えていないのかもしれないな、と男は勝手に推察した。
心優しいシスターで在り続けるのは結構なことだが、この女に対してはそんな気遣いも意味がない。無茶するなと言えば言うだけ無茶をするし、どこぞの学園都市理事長が仕組まなくたってこうやって勝手に危なっかしいことに近寄っていく。もう、そういう風に生まれついている。
人間というのは、こんな科学の街の中ですら、そんな得体の知れない業に振り回されて死んでいくものだ。この女の場合は、その業に引き摺られて死に急いでいるところを必死に現し世に引き留めようとする人間が、それこそごまんといるわけだが。
以下略



353: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/01/11(土) 17:16:17.53 ID:hPqAd4BYo





以下略



354: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/01/11(土) 17:20:12.59 ID:hPqAd4BYo



「………ン、」

以下略



355: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/01/11(土) 17:21:45.34 ID:hPqAd4BYo

ある日を境に、それがまるで様変わりした。

切っ掛けはクリスマスイヴの出来事だったと思う。妹達が仕組んだことだとは気付いていたが、大雪に閉じ込められて彼の自室で一晩過ごすこととなった。その晩彼女は第七位の少年と手を繋いだまま寝た。
あれから同じ夢を見ても、最後には必ず自分の手を引いてくれる少年が現れるようになった。大きくてごつごつした、自分よりずっと体温の高い手の感触が夢とは思えないほどにリアルだった。それからは、1人で寝ることも恐ろしくなくなった。そうしていつしか、悪夢を見る回数自体が減っていった。
以下略



356: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/01/11(土) 17:22:13.78 ID:hPqAd4BYo





以下略



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