31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/02(水) 00:17:34.35 ID:2qmOTCUlO
男「…お父様、疲れていらっしゃるみたいだった。
食堂で座ったまま寝てたんだ」
雪女「…さようでございましたか」
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2013/10/02(水) 00:18:13.18 ID:2qmOTCUlO
雪女は僕を撫でるような仕草をした。
本当に撫でてしまえば、解けてしまうから。
頭の上を冷気が撫でる。
雪女「でもね、坊っちゃん。
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2013/10/02(水) 00:18:44.19 ID:2qmOTCUlO
知っているのだ。
月に一度も、下手したら年に一回も休めないこと。
それでも僕と会うために無理やり仕事をこなしていること。
無理をさせているのは僕自身だから。
だから、
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2013/10/02(水) 00:19:22.17 ID:2qmOTCUlO
冬の日。
雪女「坊っちゃん、おかえりなさいませ!」
男「…嬉しそうだね、雪女…」
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2013/10/02(水) 00:19:52.39 ID:2qmOTCUlO
男「寒い…」
雪女「大丈夫ですか?そういえば心なしか顔が赤いように思えます」
男「んー、頭も痛いんだ…」
36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/02(水) 00:20:27.31 ID:2qmOTCUlO
雪女「それでは仕方ありませんね、お部屋に入ってゆっくり休まれてください」
男「うん…」
何年かぶりにひいた風邪は、微熱と軽微な頭痛だけの、一晩寝たら治るようなものだった。
37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/02(水) 00:21:06.78 ID:2qmOTCUlO
男「…寒いなぁ…」
自室のベッドに潜り込んで僕は呟く。
パリッとしたシーツの感覚、ほのかに感じる洗剤の香り、小学生に与えられるには広すぎる部屋。
それらだけで、僕を寂しくさせるには充分だった。
38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/02(水) 00:21:45.80 ID:2qmOTCUlO
男「……お母様…」
母は、先日から少し体調を崩していた。
僕の風邪が移って、母の体調が悪くなるのは嫌だ。
だから、こういう日には絶対母には会えない。
39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/02(水) 00:22:14.78 ID:2qmOTCUlO
雪女「坊っちゃん?」
男「…なに…」
目元を強く擦り、流したものが見つからないように背を向ける。
40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/02(水) 00:22:40.08 ID:2qmOTCUlO
「…うん、大丈夫」
身体を起こそうと仰向けになり腕に力を入れる。
少しふらついたときに、雪女が支えようとしてくれたが、触ると溶けてしまうので躊躇ったようだ。
仕方ない、他人より我が身が可愛いのは誰だって一緒だ。
41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/02(水) 00:25:50.14 ID:2qmOTCUlO
僕に水を勧め、飲んでいる間に氷枕が置かれる。
程よく冷えた水が喉を通って胃に到達すると、途端に空腹感が押し寄せてくる。
男「少し、お腹空いたな」
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