過去ログ - オリジナル小説【現代ファンタジー】
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50:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 20:16:43.34 ID:FkLb1xlW0
「あう……」
 先ほどとは違う意味で、言葉にならない声が漏れる。
 気まずさが、なによりも広がる。
 だが、そんな中でマートは正気を取り戻さなければならなかった。
 結界があるとはいえ、妹に危険が迫っているのだ。
以下略



51:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 20:21:26.03 ID:FkLb1xlW0
 後日。
「メロ〜、お菓子とって〜」
 竜との戦いはマートの勝利に終わったとはいえ、そこで受けたダメージは馬鹿になるものではない。
 しばらくは療養しなくてはならない。
 しかし、前回とは事情が違うので、マートが無茶をすることはないだろう。
以下略



52:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 20:22:02.83 ID:FkLb1xlW0
「データがない?」
 ここで言うデータとは、魔術士の個人情報のこと。
 秘密事項である彼らを管理するには、彼らの秘密を握っていなければならない。
 だが、スケアクロウとウィッチには、それがないというのだ。
「考えられることは、彼らが、先日初めて戦いに赴いたこと」
以下略



53:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 20:23:26.07 ID:FkLb1xlW0
 また後日。
 マートの体調も復調し、ある程度のリハビリも終え、戦線に復帰する。
 ただし、条件はメロがついていくこと。
 メロもアレックもなんだかんだ言って心配症なのだ。
 メロに見送られ、マートは『町』の中へと入っていった。
以下略



54:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 20:24:14.58 ID:FkLb1xlW0
「……まぁ、いいでしょう」
 ウィッチの抑揚のない声。
 違和感と、かすかな恐怖。それを感じてマートは二人から飛び退き離れた。
「あれ? どうしたんすか? エラメクさん」
 スケアクロウの方も、声に抑揚がない。
以下略



55:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 20:24:43.34 ID:FkLb1xlW0
 運命という名の破滅は、ある日唐突に訪れた。
 それは、合成獣という形を取り、人間の牙を向こうとした。
 その時、一組の男女は運命に抗い、合成獣を『町』に封じ込めることに成功したのだ。
 だが、合成獣は沈黙したわけではなかった。
 ずっと蓄えていたのだ。結界を打ち破るための力を。
以下略



56:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 20:25:13.40 ID:FkLb1xlW0
 運命なるものがもし、意志を持っていたとしたら、彼は子どもに違いない。
 それはまさに、子どもが考えたような化け物だったからだ。
 なにもかもを飲み込んで型創るそれは、絶望そのものだった。
 
 具体的に現せるのは、その馬鹿げた大きさのみ。
以下略



57:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 20:25:58.59 ID:FkLb1xlW0
『頃合いです』
 合成獣から、スケアクロウとウィッチの声が重なって聴こえてくる。
 どうやら、会話能力があるようだ。
「頃合い?」
 マートは心に浮かんだ絶望を押さえつけ、平常を装い、対話を試みる。
以下略



58:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 20:27:02.33 ID:FkLb1xlW0
「冗談じゃないわ! なんでそんなことしたいのよ!」
 もはや、なにがなんだかわからない。
 マートは叫ぶことで、理性を取り戻そうとした。
 そこでまた、キメラからの返事が返ってくる。
『例えば……例えばあなたが、朝起きて、パンを食べることに疑問を抱きますか? 夜、床について眠ることに疑問を抱きますか? 私にとって、吸収とは、その程度のことです』
以下略



59:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 20:27:42.16 ID:FkLb1xlW0
「ようするに、あんたは自分が魔術士になることで、結界を通り抜けようってことね?」
『その通りです』
 以前、アレックの言っていたマザーの黒い影。
 それは、魔術士を『町』へと誘い込み、結界を通り抜ける力を我がものにするということだったのだ。
「でも……どうやってそんなたくさんの魔術士を招き入れたのよ?」
以下略



60:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 20:28:16.09 ID:FkLb1xlW0
『……』
 ふと、キメラの頭部パーツが、空を見上げる。
 上空には何機かのヘリコプターが飛行していた。
『ふむ。結界も、時を経るにつれて薄まってきたようですね。どうやら、彼らには私たちの姿が見えているようです』
「マジですか……」
以下略



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