10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/11/11(月) 00:24:26.86 ID:3fMmVyzW0
 それに次の駅でさらに人が入ってきたら、佐藤を完全に見失ってしまう。 
  
 私は子豚のおっさんにお願いする。 
  
 (お願い、次の駅で助けたいから、停車の衝撃で転がったように見せかけてくんない?) 
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/11/11(月) 00:34:08.34 ID:3fMmVyzW0
 私は佐藤の顔は見ずに、袖を引っ張ったまま、とにかく構内のトイレに猛ダッシュした。 
  
 鏡には化粧直しやら、歯磨きをしている女性が並んでいて、しょうがなく個室へと二人で入る。 
 互いに息を切らせて、壁にもたれ掛かった。 
  
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/11/11(月) 00:42:29.73 ID:3fMmVyzW0
 と、佐藤が私のスカートを掴んでいた。 
  
 「まっ……」 
  
 声は出ていなかったが、待ってと言いたいのだろう。 
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/11/11(月) 00:47:31.45 ID:3fMmVyzW0
 私はなんとかエレベーターを利用して、地上まで出てきたが、人目に付きすぎるわ腕が痺れてきたわで早すぎる限界を感じていた。 
  
 「あー、どうしよ……っ」 
  
 ビル群を見渡す。 
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/11/11(月) 00:55:22.05 ID:3fMmVyzW0
 「お客様の部屋番号は210号室になります。ごゆっくりお過ごしください」 
  
 私たちを訝しげに見つめながら、ただし笑顔は崩さずホテルマンはそう言ってカードキーを手渡してくれた。 
  
  
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/11/11(月) 01:04:48.10 ID:3fMmVyzW0
 目を瞑ろうとして、ふと佐藤のスカートについていた白いシミが視界に映った。 
 せめて、この気色悪いスカートだけでも脱がせてやろう。 
  
 私はのっそりと体を起こす。 
  
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/11/11(月) 01:12:36.83 ID:3fMmVyzW0
 しかし、チカンなんて初めて見た。 
 そして、されている奴も初めて見た。 
  
 言っちゃ悪いが、男が痴漢をするのは生理現象だと思っている。 
 だから、しっかりされる側が叱ってやればいい。 
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/11/11(月) 01:21:46.54 ID:3fMmVyzW0
 私は息を大きく吸って、吐いた。 
 よし、ちょっと回復した。 
  
 「さて、あんたも痴漢くらいでうじうじしない。痴漢されるくらいいい女だったってことにむしろ誇っていいから。私なんて生まれてこの方そんな目にあったことないし」 
  
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/11/11(月) 01:32:25.38 ID:3fMmVyzW0
 順々に私の質問やらに律儀に返答して、佐藤は最後にこう付け加えた。 
  
 「次会うときは泣かないから……苦手にならないで……っ」 
  
 「いや、泣いたっていいっつーか……」 
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/11/11(月) 01:39:04.94 ID:3fMmVyzW0
 「……あの、私シャワー浴びてきていいかな」 
  
 また、袖を掴まれて止められる前に、私は確認する。 
 佐藤はゆっくりとこちらを見る。 
 見捨てられた子犬ような目だった。 
195Res/134.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
板[3] 1-[1] l20 
	このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
	もう書き込みできません。