3:1[saga]
2013/12/08(日) 09:31:25.15 ID:OWwQizcX0
「残念ね。 もうさっき起きたところよ」
姿が見えるわけでもないのに、不敵な笑みを浮かべ、肩をすくめて視線を受話器に送る。
モーニングコールよりも早く起きれたんだと、ちょっぴり優越感に浸ってしまう。
4:1[saga]
2013/12/08(日) 09:32:03.40 ID:OWwQizcX0
「ふぅ……」
さっきと同じ体勢でベッドに体を預ける、と同時に思い出した事が一つだけあった。
5:1[saga]
2013/12/08(日) 09:32:43.64 ID:OWwQizcX0
その言葉を引き金に、弾かれるようにベッドから体を離す。
クローゼットの中を力強く開く。 シルバーフォックスにチンチラ、セーブル。
うむ、我ながら素晴らしいラインナップ。 ミンクを選んだところでそのまま腕を袖口へ。
と、通したところで気付く。 まだ寝間着じゃない。
6:1[saga]
2013/12/08(日) 09:33:10.14 ID:OWwQizcX0
見えない所にまで気を配る。 "女優"として、最低限の事。
ネックレスはカルティエのトリニティ。 それ以外の装飾品は要らない。
別にパーティに出席するわけでも無し、無駄な輝きを増やす意味もありはしないんだから。
7:1[saga]
2013/12/08(日) 09:34:22.45 ID:OWwQizcX0
・ ・ ・ ・ ・
「……うん、悪くないわ。 少し香辛料が効きすぎかもしれないけど」
8:1[saga]
2013/12/08(日) 09:34:52.75 ID:OWwQizcX0
「……あっ、ありがとうございます!!!」
エプロンのなびく音が背中から聞こえてくる。
きっとまた敬虔にも、私に向かって頭を下げているんでしょうね。
9:1[saga]
2013/12/08(日) 09:35:20.48 ID:OWwQizcX0
「良いのよ。 別に兄様達じゃないんだから」
普通は、袖を使用人に通させたりするんだったわね。
改めて袖に腕を通す。 ミンクの手触りがとても心地良い。
10:1[saga]
2013/12/08(日) 09:35:52.27 ID:OWwQizcX0
伊織様―――。
11:1[saga]
2013/12/08(日) 09:36:25.57 ID:OWwQizcX0
そう、私が「伊織お嬢様」と言われなくなってもう7年になる。
18まではその呼び方が定着していたが、それを越えるとすぐに「伊織様」になった。
私ももう25になる。
12:1[saga]
2013/12/08(日) 09:36:57.22 ID:OWwQizcX0
暖かく、外気と隔絶された室内を出ると、肌を刺すような寒気が頬を撫ぜる。
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