59:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/11(火) 23:33:27.38 ID:4W+e2BTSo
「おい、あれ……!」
60:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/11(火) 23:33:59.68 ID:4W+e2BTSo
待て、と言えば、待ってくれるだろうか。
自分がその立場だったら、きっと無理だろうなと思った。
だから、まどかを見た。
焦りと困惑を隠そうともせずに、だけど手だけは離すまいと力を込めて、一緒に走ろうとしていた彼女。
61:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/11(火) 23:34:56.95 ID:4W+e2BTSo
少しずつ、その影は大きくなる。
ただの黒い点だったそれらが、次第に形を為して、輪郭を作って、人になる。
じわりと、繋いだ手に汗が滲んだのを感じる。
きっと私の手もそうなっているのだろう。
62:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/11(火) 23:35:55.64 ID:4W+e2BTSo
「……なあ、これ、夢じゃ……」
63:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/11(火) 23:36:27.25 ID:4W+e2BTSo
歯を、食い縛った。
浮かれていた私が、恥ずかしくなった。
私は、たった一つのものを手に入れるために。
こんなにも重いものを、犠牲にしていたんだと、気付かされたから。
64:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/11(火) 23:37:06.38 ID:4W+e2BTSo
声が響いて、やっと私は我に返って、でもあまりに遅すぎた。
何が起きたと、理解するよりも早く、ただ起きた出来事を視認する。
私の手から、佐倉杏子がすり抜けた。
まどかの手からも、巴マミが離れていった。
65:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/11(火) 23:38:23.44 ID:4W+e2BTSo
「……え?」
66:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/11(火) 23:38:55.12 ID:4W+e2BTSo
返事は、ない。
まどかの声が独りで響き、世界に溶けて消えていくだけ。
ついさっきまで握っていた生命の温度は、あっけなくも消えていた。
もう繋ぐ相手の居ない左手が、酷く寂しかった。
67:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/11(火) 23:39:52.91 ID:4W+e2BTSo
目線は自然と合うけれど、まどかはそれを下に逸らす。
その仕草は動揺を隠しきれないもので、自分自身、よく知っているものだった。
だって私も、きっと全く同じことを考えていたから。
あの二人に無責任な檄を飛ばして、切っ掛けを作ってしまったのは、間違いなく、私だから。
68:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/11(火) 23:40:39.17 ID:4W+e2BTSo
顔を上げて、問う。
その中身は、粒子になって消えた二人の消息、ではない。
彼女たちが最期に掴んだ、この世界が彼女たちの在るべき場所であるはずの、二人のこと。
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