1:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:42:37.39 ID:kVbbRwGOo
ただのゆいあず
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:44:44.05 ID:kVbbRwGOo
公園の砂地に足で引いた陣地をあらそって
男の子たちがじゃれ合っているのを、このベンチでずっと見てた。
手出しをしあって突き飛ばしたり転んだりしているくせに、
3:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:45:10.80 ID:kVbbRwGOo
携帯開いた。
新着メール、ゼロ。
バイブが鳴ってないんだから当たり前だ。
それでも、手持ちぶさたに何度も開いてしまう。
4:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:45:37.33 ID:kVbbRwGOo
今日、私は学校を休んだ。
というか物理的に行けなかった。
親の付き添いでまたアメリカに行くことになって、
成田に着いたのが今朝の十一時だったのだ。
5:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:46:04.06 ID:kVbbRwGOo
そこで私は歌うたいを頭の中に呼んでみる。
するとどうだ、
私の弾くギターにあわせて隣の空いた席でゆらゆらと歌うあの人の姿が。
6:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:46:30.71 ID:kVbbRwGOo
携帯を開く。
届いてるわけもない。ああ。
つい十数分前にここに来るってメールをもらったばかりなのに、
さっきから何度ぱかぱかやってるんだろう。
7:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:46:57.30 ID:kVbbRwGOo
サッカーボールだった。
それを拾い上げると向こうから坊主の子が走ってくるのが見える。
私はそれを蹴ろうとして、
8:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:47:23.93 ID:kVbbRwGOo
私は文庫本と携帯電話を傍らのバッグに押し込むと深く息をついた。
かさついた唇から流れた息とともに、
自分の中のなにかまで落としてしまった気がして、
足下に目を落とす。
9:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:47:50.56 ID:kVbbRwGOo
もう一度手を伸ばしてみた。
脚だけでなく腕のリーチも短い私は、
自分で引いた国境線さえ突き破れないのを知った。
10:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:48:17.07 ID:kVbbRwGOo
入り口の方でブロンドの女性が見えた。ムギ先輩ではない。
もっと年上の人で、赤毛の男の子を連れている。
外国人の二人を見て、
11:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:48:43.76 ID:kVbbRwGOo
私があのぐらいの頃は今よりずっと人見知りで、
ずっと両親の足下に隠れてびくびくしているような子で、
そのくせなつくと理由をつけてはくっついて離れないというめんどくさいやつだった。
12:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:49:10.36 ID:kVbbRwGOo
マイ・ネーム・イズ・アズサ。マイ・ホビー・イズ・ギター。
それは一種の壁で、小さな私を母親のように守っていてくれて、
私はその壁を強く固く広げながら育った。
13:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:49:36.94 ID:kVbbRwGOo
ひっ、と驚いて息もできない声も出せない。
でもその腕の正体はすぐわかった、
私はこの熱を肌の感触をこんなことする人を知っている!
あいかわらず声なんて出ないでいる私の右肩にかわいい頭を乗せて
14:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:50:04.09 ID:kVbbRwGOo
やった、やっと会えた。
どうしよう、心臓がばくばくいってる!
もうあの人なんてことするの、私まだ何の準備もできてないのに……
頭の中が急にいろんなものではじけ出してるのに
15:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:50:30.61 ID:kVbbRwGOo
「……お久しぶりです、せんぱい」
間の抜けたことを私が言った。
もう、息をもらすのと変わらないぐらいの言葉だ。
16:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:52:10.35 ID:kVbbRwGOo
「……お久しぶりです、せんぱい」
間の抜けたことを私が言った。
もう、息をもらすのと変わらないぐらいの言葉だ。
17:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga >>16はミス]
2014/03/05(水) 00:53:47.22 ID:kVbbRwGOo
テンションMAXの唯先輩にいいようにされながら、
自分でも唯先輩の柔らかな髪を撫でてみたりしながら、
ようやく胸が落ち着いていくのを感じていた。
18:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:54:30.81 ID:kVbbRwGOo
「……あの、先輩。そろそろ落ち着きましょう」
えー?と顔を上げて私をまっすぐ見た不満げな唇、
それすらたまらなくなるけど、私は唯先輩の肩を押しやった。
19:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:55:01.54 ID:kVbbRwGOo
「ほら、いそがないと!」
なにか企んでる時の半笑いで口の端をゆるめながら、先輩が手を引く。
20:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:55:28.05 ID:kVbbRwGOo
しばらく公園の外を見渡して、もう販売車が去ってしまったことを確かめると、
唯先輩は駐車場の青い金網に背中をもたげて
長い長いため息をついた。
21:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:56:08.16 ID:kVbbRwGOo
市道を歩きながら、私たちはそれぞれの五日間について四方山話を交換した。
滞在中も眠る前にはメールを重ねたから、新しい話はほとんどなかった。
向こうの日中がこちらでは真夜中だったりで、
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