109: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/19(土) 10:01:15.50 ID:s4vLrOmz0
と、路地の暗がりから出た瞬間に、横から衝撃が襲ってくる。
小柄な女だ。名門校の制服を着ている。そいつは走ってきて、俺様にぶつかって、勢いよく手に持った封筒を放り投げる。
中身がばらまかれていく。
110: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/19(土) 10:03:56.53 ID:s4vLrOmz0
頭に衝撃。
――っ、! ? ???? !?
111: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/19(土) 10:04:35.37 ID:s4vLrOmz0
コンクリートを踏み砕きながら切迫。俺様は詰襟と違って木刀など使わない。武器などいらない。全てはこの四肢が、五体が、あればいい。
強化された動体視力が女の表情の変化を捉えた。余裕ぶった表情から驚愕の表情へ。この急加速は想定していなかっただろう。
金属バットすら容易くへし折り、裏拳が肩口へと激突する。
112: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/19(土) 10:05:04.68 ID:s4vLrOmz0
ナイフを抜いて投げ捨てる。『弱肉強食』によって止血と鎮痛は済んだ。体を捩じれば多少の違和感はあるが、ほぼ無視しても問題ないレベル。
今は俺様の体よりも目の前の敵の方が重要だった。
地を蹴る。真っ向勝負上等の突進。この軌道は単純で、先ほど見せたとおり。だからあちらの対応も同様だ。
113: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/19(土) 10:05:43.03 ID:s4vLrOmz0
考えろ、考えろ、俺様。頭を働かせ策を練る。そんなのは野生動物でもやっている。
相手の能力、その正体を見極めるのだ。
考えうるのは三つ。瞬間移動、透明化、そして……時間操作。
114: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/19(土) 10:06:09.72 ID:s4vLrOmz0
俺様はそのままコンビニに突っ込んだ。
首が切れて血が噴き出す。全身に突き刺さるガラス片。それらが蛍光灯の光を反射してきらきら輝いている。
客の悲鳴。
115: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/19(土) 10:06:53.58 ID:s4vLrOmz0
金髪「流石の俺様でもぐちゃぐちゃの肉片になっちゃおしまいだぜぇええええ!?」
会計「『時は金なり』!」
116: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/19(土) 10:07:53.65 ID:s4vLrOmz0
けれど俺様は知っている。ここは戦場だ。誰も彼もが蹴落としあい、隙を見ては後ろから刺す、血も涙もないくそったれな戦場なのだ。
そしてそれを自己責任と言う言葉でごまかし続ける。努力が足りないとか、頑張りなさいだとか、そんな発奮を促す言葉をかけるだけで満足した気になって。
それでもどうしようもない人間がいることなど夢にも思わず。
117: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/19(土) 10:09:10.76 ID:s4vLrOmz0
だめだ。やばい。早く逃げなければ。転戦しなければ。
頻りに脳が警報を鳴らす。周囲への被害こそ甚大だし、何より、俺様のストックも底を突きつつある。
しかしそれもうまくいかない。渋滞になった車たちが鮨詰めで、その隙間を縫うこともできない。いくつか事故も起こっている。
118: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/19(土) 10:11:26.40 ID:s4vLrOmz0
「手」
短い呟きがそばから聞こえた。
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