38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/25(水) 20:50:24.06 ID:SRH5G3sNo
ムロイはぎょっとした様子でケイを見つめてきた。
ただ、それは核心を突かれて動揺したというよりは、そんなことを聞かれるとは思わなかったという驚きのようだった。
「そんなことを聞くのかい?」
彼は実際に口に出しもした。
39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/25(水) 20:50:59.56 ID:SRH5G3sNo
ムロイはしきりにうなずいた。
「そういえば考えたこともなかったよ。星は人間に何かしらのメッセージを送っていて、人間がそれを聞き取れないだけだとなんでだか思い込んでた。それ以外の可能性は思いつきもしなかった」
今だ鳴っていた装置のスイッチを切って彼はこちらに訊ねる。
40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/25(水) 20:51:42.32 ID:SRH5G3sNo
「君はあの音を聞いてみてどう思った?」
ムロイは急に問いを変えた。
「あの音は君にはどういう風に聞こえた?」
41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/25(水) 20:53:06.11 ID:SRH5G3sNo
闇の中を漂う自分を思い浮かべる。
遠く、はるか向こうに光が見える。他者がいる。
しかし触れることはできない。
理解し合うなど望むべくもない
42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/06/26(木) 09:18:24.15 ID:DQ8xFLRLO
こういう雰囲気好きです
期待
43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/06/26(木) 11:17:31.74 ID:DOyTb1aQo
レスしていいものかずっと悩んでたww
最初っから見てるよ
44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/07(月) 18:35:50.78 ID:1qEy49aIo
……
果てしなく広がる砂の野に佇んで、ケイは思う。
なぜあの夜はあんなにしゃべることができたのだろうと。
45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/07(月) 18:36:20.89 ID:1qEy49aIo
なぜムロイは星の声の研究をしているのだろうか。
その日最後の授業を受けながらふとケイは考えた。
あるかどうかもわからない不確かなものを追っている理由は何なのだろう。
46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/07(月) 18:36:47.94 ID:1qEy49aIo
夜、木材置き場に赴くと、すでにムロイはケイの専用席に収まっていてこちらに手を振った。
昼間考え続けていたことを聞こうとして、しかしなかなか言葉にならないまま持て余しているうちにムロイは何かを差し出してきた。
「いいのが撮れたよ」
47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/07(月) 18:37:22.37 ID:1qEy49aIo
装置をポケットから取り出してスイッチを入れた。
星の声が流れ出す。星の声ではないかもしれない異音が流れ出す。
ケイには空白に聞こえ、他の人にはそうは聞こえないであろうノイズ。
カメラをリュックサックにしまい込みながら「今夜は特によく聞こえるねえ」とムロイは言った。
48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/07(月) 18:37:56.88 ID:1qEy49aIo
ケイははたと口を止めた。
深く考えて出した言葉ではなかった。
ただ、ムロイもスズと同じなのか気になったのだ。
星のような在り方をしているのか、それを聞きたかったのだ。
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