1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/22(木) 21:06:43.17 ID:+nZ8YiETo
「はい、はい――本当にすみませんでした。失礼します」
僕が受話器を電話機に置いてもまだ、彼女は泣きべそをかいていた。
ソファーに座るよう促しても彼女は座ろうとしなかった。
「なあ、気にするなよ。誰だって……例えば春香だって似たようなミスはやったさ」
ずずっと鼻水をすすって、彼女は疑わしそうな目を僕に向けた。
「本当?」
「本当本当」
ほら、と僕はソファーに座って、隣の席をぽんぽんと叩いた。
ようやく彼女は腰を下ろした。
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/22(木) 21:07:37.29 ID:+nZ8YiETo
彼女はテーブルの上のティッシュを一枚引っ掴んで、
涙をぐしゃぐしゃと拭った後、ちーんと鼻をかんだ。
何となく、子供らしさを残したその仕種に僕は頬を緩めた。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/22(木) 21:08:39.10 ID:+nZ8YiETo
彼女はふん、と一つ鼻から息を吐いてから言った。
「誕生日のお祝い、やっぱりいらないや」
「それは……どうして?」
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/22(木) 21:09:34.34 ID:+nZ8YiETo
「もし、ああなったのが――じゃなかったら。……今ここに居るのが――だったら」
はあ、と彼女は溜息をついた。
「もっと、上手くやってたと思うんだ」
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/22(木) 21:10:08.93 ID:+nZ8YiETo
「きっとね、僕は思うんだ……」
「何を……?」
彼女はまた小さく溜息をついた。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/22(木) 21:10:48.25 ID:+nZ8YiETo
僕の膝を枕にしてソファーに寝転がった彼女の身体が、静かに震えたようだった。
少し呼吸を置いて、綺麗なすすり泣きが聴こえてきた。
目を瞑ったまま泣いているのかな。僕は彼女の髪や肩を撫でた。
すすり泣きに混じって、笑い声も聴こえた。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/22(木) 21:11:17.09 ID:+nZ8YiETo
「兄ちゃん、ケーキ食べよっ」
「うん、そうだな。二人の好きなケーキを、僕は買ってきたんだ」
僕はソファーから立って、冷蔵庫にしまっておいたケーキを取り出してテーブルに置いた。
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/22(木) 21:12:10.76 ID:+nZ8YiETo
短いですが以上で終わり。
亜美、真美、誕生日おめでとう。
彼女は亜美でも真美でもきっと同じことを言ったでしょう。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/05/22(木) 21:47:01.58 ID:fQUT5SXw0
乙!
亜美真美誕生日おめでとう!!
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/22(木) 21:51:35.36 ID:o6wGijobo
おつおつ
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