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2014/07/24(木) 14:27:02.39 ID:9uLTT2Jd0
左頬がまだヒリヒリと痛む。
道端に放置された車のサイドガラスで少し確認したら、相当腫れていた。
今日は色々と散々な日だ。
思えばマフラーも忘れ、一人もスカウトできず、まして一人から平手打ちを喰らう――。
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2014/07/24(木) 14:29:02.84 ID:9uLTT2Jd0
ほんの少し緑がかったセミロングの髪。
右の目元にある泣きぼくろも、何だかセクシーだ。
それでいて、穏やかなで優しそうな印象を与える横顔。
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2014/07/24(木) 14:30:30.46 ID:9uLTT2Jd0
「あ、いや――」
馬鹿か僕は、何で声をかけたんだ。
この子にダンスをやらせる気か? 絶対無理だ、賭けてもいい。
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2014/07/24(木) 14:32:21.85 ID:9uLTT2Jd0
「へっ? あ、いや――」
一瞬、何を聞かれたのか理解できず、変な声が出てしまった。
マフラー――何でいきなりマフラーの話を?
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2014/07/24(木) 14:34:09.87 ID:9uLTT2Jd0
「お前らしくねぇなぁ」
翌朝、したくもない話をしてやったところ、案の定高木は呆れた様子だった。
「昨日クリーニングに出したっつったって、今日までに仕上がるはずねぇじゃん。
今日その子が来たらどう言い訳すんだよ」
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2014/07/24(木) 14:36:14.62 ID:9uLTT2Jd0
「もし本っ当に、からっきし運動できないとかいう子だったら、俺も面倒見きれねぇぞ」
高木が一瞬、不安そうな顔を覗かせ、またいつものニヤケ面に戻った。
「半端モンのアイドル担ぎ上げたって、新風は巻き起こんねぇんだろ?」
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2014/07/24(木) 14:39:54.11 ID:9uLTT2Jd0
高木にコーヒーを淹れるよう指示し、彼女を応接室のソファーに座らせる。
彼女はよほど恐縮しているようで、小さい肩をさらに縮ませ、ガックリと俯いていた。
「カップのことは、気にする必要ないですよ。
大分年季が入っていたし、そろそろ買い替えようと思っていたんです」
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2014/07/24(木) 14:41:44.01 ID:9uLTT2Jd0
「ところで、今日はコイツに貸したマフラーを返してもらいに来たのかな?」
高木が間抜けなトーンで話題を振った。
「お、おい高木――」
「いやねー、まだクリーニング終わってないんだよね。ごめんねー。
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:43:38.04 ID:9uLTT2Jd0
「いえ――大丈夫です。おかげで寒さに凍えずにすみました」
僕は、何とか平静を装い、彼女に返事をした。
高木は、その横で必死に笑いを堪えている。
「よ、良かったぁ」
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:46:25.27 ID:9uLTT2Jd0
右の人差し指を頬に寄せ、少し考えて彼女は答えた。
「すごいなぁって、テレビを見て思ったりします」
「運動や、音楽に関する経験は、何かありますか?」
「運動、は全然ダメです。
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:49:14.35 ID:9uLTT2Jd0
応接室のソファーに戻り、彼女に話を切り出す。
「音無さん――アイドルに、なってみたいと思いませんか?」
えっ――彼女の口から小さな声が漏れ、しばらく硬直した。
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