51:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:32:55.02 ID:sdjP5j9j0
『いちごを だれかに とられちゃうのと
いちごを だれにも たべてもらえないのは
いったい どっちが かなしいかしら』
52:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:33:59.02 ID:sdjP5j9j0
どっちもおなじよ かなしいわ。
53:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:34:35.57 ID:sdjP5j9j0
第3話「サムデイ イン ザ レイン」
瞼を開けば眩しい光と共に透き通ったブルーの青空が…なんてそんなわけはなくて、
むしろさっきよりも勢いを増した雨粒が、激しく窓を打ち付けている。
54:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:35:12.20 ID:sdjP5j9j0
潰れる前に一度だけ、梓ちゃんと一緒にこの店に来たことがある。
「やめておきましょうよ。ゼッタイおいしくないですよ」
55:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:36:06.86 ID:sdjP5j9j0
そういうわけで、この店のラーメンの記憶をビールに書き換えることに成功している。
記憶の中で印象的なのは、所狭しとテーブルに並んだ、星マークの入ったビールジョッキ。
ちなみに最初文句を言っていた梓ちゃんは「意外にイケましたね。今度他のみなさんも誘ってきましょうか」なんて言っていた。
56:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:36:48.65 ID:sdjP5j9j0
目の前を自転車が走って行った。気がつくと雨はおさまっている。
わたしは軒先から出て歩き出した。
スーパーの閉店時間を過ぎた商店街には、人影が見当たらない。
57:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:37:31.96 ID:sdjP5j9j0
雨に濡れた道路わきには店内の灯りが漏れている。
店の外に出された棚には、雨よけの透明なビニールカバー越しに音楽雑誌が並べられているのが見えた。
58:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:38:11.37 ID:sdjP5j9j0
「うん。この近くでちょっと用があったから。そのついで」
「そっか。いつも悪いな」
59:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:39:10.06 ID:sdjP5j9j0
「かわいいね、それ」
「だろ。でもこれ、壊れてるんだけどな」
60:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:40:12.95 ID:sdjP5j9j0
霧雨の中、暗い夜道をふたりで帰る。
壊れた傘をさしながら。
ビニール袋越しに見上げた夜空は、半透明に濁って見えた。
61:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:41:13.45 ID:sdjP5j9j0
わたしは傘をたたむと澪ちゃんのそばに寄って、右腕を掴んだ。
「ム、ムギっ…//」
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