過去ログ - 朝倉涼子「彼の下駄箱に手紙を入れたわ」
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4:名無しNIPPER[sage saga]
2015/01/19(月) 04:31:42.60 ID:pFBqYFQN0
彼はわたしが呼び出したことが心底意外だったのか、教室の入り口で引き戸に手をかけたまま固まっていた。

「入ったら?」

わたしは彼に入室をうながす。
以下略



5:名無しNIPPER[sage saga]
2015/01/19(月) 04:32:35.65 ID:pFBqYFQN0
「用があることは確かなんだけどね。ちょっと訊きたいことがあるの」

なんとなく彼に興味が湧き、質問をしてみる。

「人間はさあ、よく『やらなくて後悔するよりも、やって後悔するほうがいい』って言うよね。これ、どう思う?」
以下略



6:名無しNIPPER[sage saga]
2015/01/19(月) 04:33:23.37 ID:pFBqYFQN0
そして座り込んでいる彼と暫しの雑談。彼が立ち上がるのを待つ。

『彼女』はまだ来ない。そうこうしているうちに彼が弱々しく立ち上がる。

そして彼は脱兎の様に駆け出し教室から出ようとした。
以下略



7:名無しNIPPER[sage saga]
2015/01/19(月) 04:34:21.03 ID:pFBqYFQN0
何者かがわたしの情報制御空間にアクセスしようとしていることが解った。

わたしにはそれが誰なのか解る。

それが出来て、しかもそれを行うのは『彼女』しかいないから。
以下略



8:名無しNIPPER[sage saga]
2015/01/19(月) 04:35:12.12 ID:pFBqYFQN0
「天井部分の空間閉鎖も、情報封鎖も甘い。だからわたしに気づかれる。侵入を許す」

天井を破って現れた『彼女』はわたしにそう言った。

やはり『彼女』は優秀だ。
以下略



9:名無しNIPPER[sage saga]
2015/01/19(月) 04:36:19.74 ID:pFBqYFQN0
わたしは『彼女』に敵わない。

所詮、わたしはバックアップだからだ。

それでもあたしは全力で戦った。
以下略



10:名無しNIPPER[sage saga]
2015/01/19(月) 04:36:50.51 ID:pFBqYFQN0
そしてわたしは『彼女』に負けた。

解り切っていたことだった。

何故ならわたしは『彼女』のバックアップなのだから。
以下略



11:名無しNIPPER[sage saga]
2015/01/19(月) 04:39:22.82 ID:pFBqYFQN0
あたしが消える前に彼に警告を与える。

「いつかまた、わたしみたいな急進派が来るかもしれない。それか、長門さんの操り主が意見を変えるかもしれない」

それはまたわたしかも知れないと思いつつも警句を与えた。
以下略



12:名無しNIPPER[sage saga]
2015/01/19(月) 04:40:12.95 ID:pFBqYFQN0
あたしは消える。では再び出会うであろうわたしは?

もしも出会い方が違ったのならあたしは彼と違う関係になれたのかな?

次に出会うであろうわたしは彼とどうなるのであろうか。
以下略



13:名無しNIPPER[sage saga]
2015/01/19(月) 04:41:12.49 ID:pFBqYFQN0
諦観したあたしは自然と笑顔になった。

そしてあたしの笑顔も思考も存在も、今のわたしも砂となり、いずれその中に埋もれていくのを感じた


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