過去ログ - 少年「『大丈夫だ、もう心配ないぞ。お前は生きていい』だっけ」
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1:名無しNIPPER
2015/01/26(月) 23:58:46.12 ID:ua0FO7h4O
 幼少のころから、自分は少しおかしかった。
 単純にそれが、他人とは違ったものなのだということが己の頭で判断が出来ていた。

 物事の価値観。生命の意味合い。死の概念。
 それらに対して、異常なほどまでに興味を持ってしまう自己意識。

 だが、それもまたオマケなようなものなのだ。
 人が本来、タブーとされるものごとを根本的に『好き好んでいる』のは常識の範囲だろう。
 だから、僕は壊れてはいない。

 そう思うことが、個人的に大事なんだ。
 壊れていることを意識する生き方は、後に自滅をするのは目に見えている。

 だからこそ、僕はちょっと昔のことを思い返そうと思う。大丈夫、そんなに長い話じゃあない。ちょっとした思いつきであって。

 何ら意味なんてものはないのだから。


 ※※※


 目の前に、犬がいた。
 小さなボロイ段ボールに入れられ、雑草が生え渡った空き地に、小さな声で鳴いている所を僕が見つけたのだった。

少年「…………」

 小さな小さな犬。雨風に汚れ、元は綺麗な茶色だったのだろうが今は薄汚れていたのを覚えている。
 そんな一般的によく見る、捨てられた犬。育てられなくなり、買う人間が身勝手に捨てた尊い命。

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2:名無しNIPPER
2015/01/27(火) 00:00:33.61 ID:XsMo6ytGO
 捨てた人間は今も素知らぬ顔を突き出しながらで日常を歩んでいるのだろう。


少年「かわいそうに」

以下略



3:名無しNIPPER
2015/01/27(火) 00:02:01.18 ID:XsMo6ytGO
少年「んで、どうするの。見つけてしまったのがボクだったとしても」


 そう言い淀む僕。

以下略



4:名無しNIPPER
2015/01/27(火) 00:03:11.45 ID:XsMo6ytGO
少年「じゃあ僕は帰るから」

少女「ああ、じゃあな」


以下略



5:名無しNIPPER
2015/01/27(火) 00:04:18.44 ID:XsMo6ytGO
少年「どうしたの?」

「なんかね、わかんないけどね、同じクラスの子がねっ」


以下略



6:名無しNIPPER
2015/01/27(火) 00:06:04.61 ID:XsMo6ytGO
 無邪気な恐怖ほど、これほどまでに残酷なものに繋がるのかと。
 僕はいかにも無邪気とは程遠い関心で、ゆっくり周りを見渡していった。


教師「静かに」
以下略



7:名無しNIPPER
2015/01/27(火) 00:07:22.43 ID:XsMo6ytGO
 それは明朝、いつもより早めに登校した僕の存在だけが見れたモノであって。


少年「…※※※※さん」

以下略



8:名無しNIPPER
2015/01/27(火) 00:09:21.04 ID:XsMo6ytGO
 僕は足音を立てずに、遺体へと近づく。

 しかしながらそれは遺体と呼んでもいいのだろうか。肉の塊のような外見となってしまった彼女は既に。
 命はなく形だけとなって、そもそもその形すら儘ならないものとなってしまっているのに。

以下略



9:名無しNIPPER
2015/01/27(火) 00:10:46.51 ID:XsMo6ytGO
 可愛いと言った彼女の言葉を体現するかのように、僕は彼女の頭を撫で続けた。

 気が済むまで撫で続けると、僕は指に絡まる髪を解きつつ、頭から手を離した。
 むせ返るような湿気を帯びた指先をポケットに入れ、指先をこすり合わせる。

以下略



10:名無しNIPPER
2015/01/27(火) 00:11:47.95 ID:XsMo6ytGO
少年「だから僕に近づいてきた」


 死というものを身を持って行う存在。だがそれは強く惹きつけあう。

以下略



11:名無しNIPPER
2015/01/27(火) 00:12:49.45 ID:XsMo6ytGO
少年「……?」

 近くの草むらが音を立て始めた。
 僕は静かにポケットに入れていたナイフを握り締める、どう対処できるかは分からないが。

以下略



12:名無しNIPPER
2015/01/27(火) 00:13:38.75 ID:XsMo6ytGO
少年「美味しいか」


 つたわらないとわかっていても、僕はそう聞きたかった。
 お前の命をつなぎとめた存在の肉というものはどういった味なのだろうかと。
以下略



13:名無しNIPPER
2015/01/27(火) 00:15:14.62 ID:XsMo6ytGO
 子犬は時間がかかりつつも、満足に至るまでに食したのか。
 地に伏せるようにして転がってしまった。

 瞼は閉じられ、か弱い息遣いだったものは安らかに吐息へと変わり。

以下略



14:名無しNIPPER[sage]
2015/01/27(火) 00:15:50.29 ID:XsMo6ytGO
 あの時の対馬ハインのように、まるで自分に言い聞かせるかのようにしながら。

 この子犬の中で息づく糧となった彼女を、僕は意味もなく慰めた。


15:名無しNIPPER[sage]
2015/01/27(火) 00:17:08.61 ID:XsMo6ytGO
終わり

過去に投稿したものをリメイクしたものです。

ではではノシ


16:名無しNIPPER[sage]
2015/01/27(火) 00:46:04.66 ID:HcHk09SAO



17:名無しNIPPER[sage]
2015/01/31(土) 18:56:47.23 ID:7clx7AZG0



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