33:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 23:06:39.05 ID:vp/MiubgO
「あ……」
やってしまった。怖がらせるつもりはなかったのだけれど。
女の子も、しまった、という表情をしている……と、思う。髪で隠れてよく見えないけれど。
34:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 23:22:19.48 ID:c7AogKX+O
「……あの、ね」
女の子がまっすぐこちらを見る。
35:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 23:24:02.40 ID:vp/MiubgO
「……ごめんなさい、お姉さん」
36:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 23:37:01.04 ID:c7AogKX+O
翌日から、なぜか私の仕事が眼に見えて増えた。
あれやこれや、と着せられる服に要求されるポーズ。やりがいというものも感じられるようになった気がする。
あの女の子のおかげかしら。そう思って、キーホルダーを眺めていたら同僚からは不気味がられてしまったけれど。
37:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 23:47:36.76 ID:vp/MiubgO
左右の瞳の色の変化は、日に日にくっきりと表れてきた。
でも、周りはそれほど気にしていなくて、むしろ「おしゃれ」なんて評価されたぐらいだ。
なら、このままでもいいのかしら。カラーコンタクトでのオッドアイが若い子の間で流行っている、というような話も聞く。
38:名無しNIPPER[saga]
2015/02/24(火) 00:03:40.48 ID:uK/wtf6FO
「……これって、落し物?」
あの時の目玉のキーホルダー。
39:名無しNIPPER[saga]
2015/02/24(火) 00:10:42.81 ID:uK/wtf6FO
――
それから、少しずつ色が濃くなっていく右目では普段見えないものが見えるようになっていった。
たとえば雨粒に混じるキャンディーだったり、時計の針にかかる虹だったり。
40:名無しNIPPER[sage]
2015/02/24(火) 00:30:59.77 ID:FbW9Kb3A0
楓さんが……。
41:名無しNIPPER[saga]
2015/02/24(火) 00:39:56.65 ID:uK/wtf6FO
いつかぶりに見た夢だけれど、なんとなく覚えている。
顔も知らない誰かが私を迎えに来る夢。お姫様になった私とキスをする夢。
だけど今日は顔も知らない誰かの顔に靄がかかってよく見えない。
42:名無しNIPPER[saga]
2015/02/24(火) 00:47:04.34 ID:hqS2G1XbO
右眼を開いて、ゆっくりと瞬きをする。キラキラした色が落ち着いていく。
気が付けば普段買い物をする店の中にいつの間にか私は立っていた。
右眼の色が濃くなる前の、普段通りの普通の世界。
43:名無しNIPPER[saga]
2015/02/24(火) 00:50:03.49 ID:uK/wtf6FO
――――――ガツン。時が止まる。
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