過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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837:名無しNIPPER[sage]
2015/12/06(日) 20:25:04.68 ID:Vf3JlxCN0
なるほど。把握


838:名無しNIPPER
2015/12/06(日) 20:27:19.04 ID:7U64vHfYO
了解です


839: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/12/08(火) 13:54:47.66 ID:36P3Vv2Ko


ひとめぼれというものがもし実在したとしたら、その人はどんなことを思うだろう。何もない場所で、なんでもない時に思い返して、胸が騒いで、もだえそうになって。そんな感じなのだろうか。春になると、なんとなく体調が悪いとかざわざわ感があるだとか、そうなるのは季節の変わり目に自律神経のバランスが崩れるからだ。そういうこともある。

魂の片割れと巡り合うツインソウル、過去世のつながりを示すソウルメイト、心的な波長が合致するツインフレーム、多分に空想的な単語と想像が頭に浮かんでは消えていく。それらの単語にはいまいちぴんとくるものがない。まだ、恋とは電撃的なものだとか、恋は目で見ず心で見るだとか言われたほうがうなずける。
以下略



840: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/12/08(火) 13:55:34.58 ID:36P3Vv2Ko
「おーい、サキいるー?」

緊張した面持ちで考え込む咲の耳に来客をしらせるベルの音が届く。続けて、親しげにかけられるのんきな声。

――や、やっぱり。がらんとした部屋にその音が響いた瞬間、咲は腰を浮かせた。
以下略



841: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/12/08(火) 13:56:16.36 ID:36P3Vv2Ko
「どうかした?」

「あ、ううん。なんでも」

ぽかんと口を開けて感じ入るような吐息を漏らした咲に対して、疑問の声をあげるネリー。咲は、すぐに手を振ってごまかす。動悸を起こしたように心拍数の上がった胸を軽く押さえ、そよぐ風に乗ってただよう、普段とは違う彼女の香りに息を吸い込みほんの一瞬鼻をふくらませる。
以下略



842: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/12/08(火) 13:56:55.17 ID:36P3Vv2Ko
下ごしらえしておいた材料を調理し、夕食をふるまう。菜の花やタケノコなどの春野菜を使ったツナちらしに、きゅうりとわかめとしらすの酢みそあえ、スナップえんどうのごまソテー、そして麩と春雨の吸い物。「おいしかったよ、ごちそうさま!」手ぬかりなく手抜きなくつくられた食事に舌鼓を打つネリーに「おそまつさまでした」と返事をした咲が洗いものを片づけた後、キッチンと隣り合ったリビングへと戻ってくると、ソファでくつろいでいる様子のネリーが目に入る。

自分の部屋でくつろぐ人の姿をみて、咲のうちには複雑な気持ちが生じていた。むろん自分の部屋でくつろがれていることに気分を害したとかそういうことではない。借りてきた猫のように縮こまられるよりはずっと楽だ。やりやすいし、心持ちとしても軽くなる。

ただ、中学時代を含めて家族以外の同年代の人間を家に上げる、ましてや自分の部屋に招いたことはなかったからだろうか。送り迎えや慣れるまで何かと一緒にいてもらう面倒をかける申し訳なさから断りきれなかったとはいえ、慣れない感覚に手こずっているのと。
以下略



843: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/12/08(火) 13:57:38.50 ID:36P3Vv2Ko
「お疲れさま。ごめんね、ゴショーバンになったうえに片づけもさせちゃって」

歩いてきて、ネリーとちょうど真向いの椅子に座る。ダイニングテーブルを挟みソファと平行に置かれた椅子だ。

「気にしないで。それより、難しい言葉しってるんだね」
以下略



844: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/12/08(火) 13:59:51.09 ID:36P3Vv2Ko
「へえ、読書?」

麻雀部での話題で、ネリーが関心を示したのは明華との事だった。

「たしかにもの静かなとことか読書してそうな……んー、ネリーもやってみようかな?」
以下略



845: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/12/08(火) 14:00:35.39 ID:36P3Vv2Ko
実はこうして具体的な用件で夕食を共にとったあともネリーが咲の部屋に残るのを望むのは、一〇日足らずの付き合いで初めての事だった。ネリーが夕食を相伴に預かる機会は会ってから半々ほどだった。昼の弁当を含めればもっと高い頻度で咲の食事を口にしているだろうが、それはさておき。一緒に夕食をする半々の際はとくに理由らしい理由をつけず夕食のあとも咲の部屋でしばらく過ごしていった。自分の部屋などで時間を潰してしまっていいのだろうかと咲の脳裏に心配がよぎったものの、帰った方がいいとは言えなかった。今日は理由がある。

しかし、気のせいだろうか。座高の関係から見上げてくるネリーの無邪気そうな瞳、そこには相手が受け入れるという確信が宿っている。そんな風に咲は感じられた。

でもすぐに思い直す。思い過ごしだろう。ともあれ、手紙の書き方と漢字くらいならよほど凝っていて難解なものでなければ力になれそうだ。そう知って咲の気持ちは浮き立った。
以下略



846: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/12/08(火) 14:01:14.63 ID:36P3Vv2Ko
「あっ、そういえばこの前みてた魚介のパスタあったよね?」

「レシピで?」

「そうそう、あれ今度食べてみたいな」
以下略



847: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/12/08(火) 14:01:51.17 ID:36P3Vv2Ko
「ネリーちゃん、これ誰にあてた手紙なの?」

身をこごめ、机にかじりつくように意識を集中させていたネリーは「うん?」と顔をあげ、左上に視線をすべらせると、宙にただよわせたそれを引き戻してきて咲の顔に合わせた。

とくに意識していないと人の眼は、左脳を働かせるときは左上に、右脳を働かせるときは右上に、黒目の部分が寄って視線が流れがちである。右利きの人は九九パーセント、左利きの人は約三分の二が左脳に言語野を持つといわれる。
以下略



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