過去ログ - 佐々木「一つ、お願いがあるんだ」
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1:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 20:43:17.31 ID:jVBRPo/YO
もし違う高校を選んでいたら、俺はどんな風にこの時間を過ごしていたのだろうか。
入学式という名のつまらん長話で構成された儀式で意識を鈍らせつつ、ふとそんなことを思った。
この世界のどこかの高校には、腹を抱えるほどトークの上手い校長先生がいたりするのかね。
そして今、この教室は至ってありふれた自己紹介タイムの真っ只中にあるのだが、
この世界のどこかのクラスには、頭を抱えるような電波話を発信し始める新入生がいたりするのだろうか。
まあ仮にそうだとしたら、この組ではこのまま平穏無事に終わることを願わずにはいられないが。
だが、それらは全て仮定の話で、俺はこの学校を選び、この組に選ばれた。思うに人生とは選択の連続だ。
選択肢の先は複雑に絡み合った根っこのように広がり、現在の選択が未来の選択肢にも影響するのだ。
ゲームだってそうだろう? マジシャンになったらその先の選択肢はウィザードやプリーストやヒーラーで、
決してナイトやスナイパーになったりはしない。マジックナイトにはなるかもしれないけどな。
逆に言えば何かを決めるということは、その他の可能性を消すということに等しいのかもしれない。
ま、二十歳にも満たない若造が何を知ったようなことを言ってるのか、と言われたらそれまでなんだがね。
そんなことを考えながら、俺は前の席に座っている顔なじみが泰然と立ちあがるのを眺めていた。
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2:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 20:45:41.39 ID:jVBRPo/YO
「西宮南中出身の佐々木です」
知性を感じさせる明瞭で中性的な声が教室に響く。
3:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 20:47:37.89 ID:jVBRPo/YO
「キミらしくないスタートだったじゃないか、キョン」
全員分の自己紹介と担任による諸々の説明が終わり、学年集会が開かれるまで休み時間となったため、
4:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 20:50:11.51 ID:jVBRPo/YO
「ふむ、実のところ僕はキミがそれほど知的欲求に欠くタイプだとは思っていないのだけれどね」
「確かにキョンは見るからに馬鹿っぽいってタイプではないよね」
5:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 20:52:57.50 ID:jVBRPo/YO
スタートから躓いた俺だったが、その後は持ち前の普通ぶりを発揮し教室の一部として溶け込んでいた。
席の近かった谷口という奴と国木田との三人でつるむことが多くこの日も一緒に飯を食っていたのだが、
6:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 20:56:48.62 ID:jVBRPo/YO
「佐々木さんはキョンと付き合ってるからね」
「バカ言うな。またそうやってお前は」
7:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 20:58:32.21 ID:jVBRPo/YO
「バカ言うな、だとよ」
「なるほど、キョンがそう言うならそういうことにしておこうか」
8:名無しNIPPER[sage]
2015/03/28(土) 20:59:27.48 ID:Xn7sWAQWO
期待
9:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:00:21.03 ID:jVBRPo/YO
新しい環境に身を慣らしつつ新しい授業内容を受け流しているうちに卯の花月も終わりが近づいていたが、
俺と国木田の予想通り、谷口と佐々木の心理的距離が近づくことは無かった。
10:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:01:53.72 ID:jVBRPo/YO
こいつ、何か企んでやがるな。
文芸部なんて普通すぎる回答の割に妙に愉快そうな口ぶりだ、何か有るに違いない。
11:名無しNIPPER[sage]
2015/03/28(土) 21:02:59.65 ID:G5BVfJ8NO
いいね
12:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:05:46.54 ID:jVBRPo/YO
「去年の三年生が卒業したのに合わせて部員がいなくなり、新入部員もおらず廃部寸前という話だ」
「なるほど」
13:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:07:49.21 ID:jVBRPo/YO
どうやら文芸部は人数、活動ともに案外実績があるらしく、部員二名でも部として認められるようである。
公正なクジの結果俺が部長となり、面倒な書類を提出するハメになったことも付け加えておこう。
14:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:11:10.43 ID:jVBRPo/YO
そんなこんなで数日まったりと活動し、今日はゴールデンウィークが明けた後の最初の活動日である。
俺の背中を押すようにして部室に入るや否や、佐々木はにこやかに切り出した。
15:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:14:07.90 ID:jVBRPo/YO
「つまり色々な人生経験をしろって言いたいのか」
「そういうことさ」
16:名無しNIPPER[sage]
2015/03/28(土) 21:17:03.61 ID:STNIAi2DO
なるほどハルヒの位置に佐々木がいてハルヒはそこにはいないわけだ
17:名無しNIPPER[sage]
2015/03/28(土) 21:18:40.66 ID:Xn7sWAQWO
ハルヒに釣られてきたSOS団の面子もそれによっていなくなるわけだな
18:名無しNIPPER[sage]
2015/03/28(土) 21:20:07.12 ID:A4Z3jK3rO
橘がでてきたらハルヒが出る可能性が跳ね上がる佐々木SSだけどどうなるか
19:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:21:10.12 ID:jVBRPo/YO
「さすが部長、よく把握しているね。実に頼りがいがある。
しかし、それならば別に課外活動という形をとらず二人で外出すれば済む話だ」
20:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:27:58.89 ID:jVBRPo/YO
かくして俺たちは毎週土曜日校外活動に励むこととなったのだが、
「うん、部誌の為にね」
21:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 21:30:16.77 ID:jVBRPo/YO
セットした覚えのない目覚ましに叩き起こされ、眠い目を擦りつつ朝の支度をしていると、
珍しく休日に早起きしている俺を妹が不審がり、このままでは引っ付き虫のように付いてきそうだった為、
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