6: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/08(水) 23:58:20.31 ID:9CplnFxm0
「……」
そう言ってわたしに白いカードを押し付けると、彼(?)は入口の方へと戻っていきました。
いったい何者なのだろう、彼は。自分のことをボクと呼んでいた以上、おそらくは男性なのでしょうが。
しかしその背も、体格も小柄で、大人にはとても見えません。
7: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:02:08.77 ID:L/XPeEV/0
ぎいぎいと、蝶番が悲鳴をあげながら開いていきます。
図書館のドアがこんなにうるさいのはいかがなものでしょうか――と思いますが、しかし実際、問題はなかったようです。
なぜならその部屋は、真っ暗だったからです。
他の利用者などいようはずもありません。
8: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:04:11.37 ID:L/XPeEV/0
「……ふぅっ」
「ひぃぁぅっ!?」
突然真後ろから声が聞こえ、生暖かい空気が首筋を舐めて行きました。
9: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:05:14.70 ID:L/XPeEV/0
……あれ?
彼、先ほど会ったときに見たものとは、別の仮面をつけています。
茶色がかった髪の、カチューシャをつけた可愛らしい女の子の仮面。
10: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:07:14.26 ID:L/XPeEV/0
そこには、棚がありました。
でも本棚ではありません。棚です。ショーケース、というのが的確でしょうか。宝石店にあるようなたぐいのものです。
しかし、よくわからないのがその中身。
11: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:08:11.02 ID:L/XPeEV/0
ちょっと待ってね、と彼がカードのようなものを取り出します。
先ほどもらった貸し出しカードに似ていますが、彼の持っているものは黒い色をしています。
それを読み取り機のようなものの上に近づけると、ピッと音がしてショーケースの蓋が開きました。
12: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:09:22.60 ID:L/XPeEV/0
Memory - サッカーボール
女の子がいます。
背の高さはわたしの腰よりちょっと高いくらいの小さな子です。小学校に入ったばかり、といったくらいの歳でしょうか。
その女の子の前には柵がありました。わたしの背丈よりも高さがあって、柵の先が槍状になっています。
13: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:11:27.94 ID:L/XPeEV/0
……ちょっと、悲しい風景です。
それなら、わたしがなんとかしましょうか。
――ねえ、あの子たちと一緒に遊びたいの?
14: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:13:00.90 ID:L/XPeEV/0
「いいの」
「きっと、ゆるしてもらえないから」
許してもらえない?
15: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:16:45.91 ID:L/XPeEV/0
「ああいうことをすると、おかあさまやおとうさまが、いやがります」
「だから、がまんします」
そう言って、うつむいてしまいました。
16: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:19:14.74 ID:L/XPeEV/0
「あ」
男の子の蹴ったボールが、空高く放物線を描いて、こちらに飛んできます。
119Res/68.83 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。