6: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 16:08:41.42 ID:dpPJnMuC0
……そして、そうやって芸能界の階段をどんどん駆け上がっていっていた、その頃。
私は、自分があることに気付いた。あることを、思ってしまった。
7: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 16:18:25.75 ID:dpPJnMuC0
2
8: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 16:19:01.85 ID:dpPJnMuC0
共演者の名前は、先日聞いたものと何の違いもなかった。サプライズで誰かが出てくる可能性もあるが、そういった人物は有名か、あるいは誰も知るはずのないような人物しか居ないと断言してもいいので問題ない。
共演者についてちょっとしたことを話される。
このマネージャーさんは、私の本性を知らない。
9: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 16:19:29.75 ID:dpPJnMuC0
収録は滞りなく終わった。
私を含めて色んな人物を集めて色々なことを話させるというバラエティ番組。
出演していたのは俳優や女優、芸人さん、アイドルなど。
どういう編集になるかはわからないが、顔ぶれを見る限り、ある程度の視聴率は確保するだろう。
10: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 16:19:57.29 ID:dpPJnMuC0
「いやぁ、やっぱり泰葉ちゃんは良かったよ。ドールハウス、だったっけ? あんな細かい作業ができるなんて、さすが業界に長くいるだけのことはある」
壮年の男性。芸能界ではまあまあの権力を持っている人。普段はとても気さくな良い人。
でも、一つだけ欠点があって、私はそこが、正直苦手だ。
11: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 16:20:42.92 ID:dpPJnMuC0
と言っても、苦手なだけで対応できないわけではない。
このような場合の対応ができないわけもない。
そもそも彼のものなんて、ひどい人と比べたらセクハラとも言えないようなものなのだ。
私は受けた経験もないが、そんなひどいセクハラが存在していることくらいは知っている。
12: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 16:21:19.28 ID:dpPJnMuC0
「……ぁ」
……あれ? どうしてだろう。表情が動かない。声が出ない。どうしてだろう。
13: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 16:22:31.79 ID:dpPJnMuC0
――と、
「すみません、少し、お時間よろしいでしょうか?」
14: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 16:23:09.50 ID:dpPJnMuC0
「……ふぅ」
横を見ると、Pと名乗った男性が息を吐いていた。
私のマネージャーさんと同年代くらいだろうか。
15: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 16:23:54.31 ID:dpPJnMuC0
彼がしたことは、自分のアイドルたちに迷惑をかけるかもしれないことだ。
同じ346プロとは言っても、部署の壁は厚いし、そもそもが芸能人というものは『個々』に判断される。
このプロデューサーが失態を犯せば彼のアイドルたちは干される可能性もあるが、私はそうならないだろう。
だから、彼がしたことは、アイドルたちに『だけ』迷惑をかけるかもしれないこと、なのだ。
16: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 16:25:01.05 ID:dpPJnMuC0
「どうして、こんなことを?」
私は訊ねた。彼の顔を見上げて、彼の顔を見て、訊ねた。
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